特別支援教育における理学療法士による介入支援 -札幌市立特別支援学校の一事例

1.はじめに札幌市立特別支援学校のうち肢体不自由児を対象とする豊成養護学校、北翔養護学校の2校には、理学療法士・作業療法士が技術職員として勤務している。豊成養護学校においては、理学療法士・作業療法士が、保護者・教員・看護師・介護員等と連携し、共通理解を図りながら、児童生徒が快適かつ安心して学校生活を送るため、児童生徒の実態に合わせた目標やプログラムを作成し、個別のリハビリテーションを行っている。2.活動内容現在の豊成養護学校リハビリテーション部は、理学療法士2名、作業療法士3名で構成している。リハビリテーション部の具体的な活動内容は下記の通りである。1)リハビリテーション個別リハビリテーション...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 1.Suppl.No.1; p. 142
Main Author 今野, 邦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 01.12.2022
Japanese Society of physical therapy for prevention
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.1.0_142

Cover

More Information
Summary:1.はじめに札幌市立特別支援学校のうち肢体不自由児を対象とする豊成養護学校、北翔養護学校の2校には、理学療法士・作業療法士が技術職員として勤務している。豊成養護学校においては、理学療法士・作業療法士が、保護者・教員・看護師・介護員等と連携し、共通理解を図りながら、児童生徒が快適かつ安心して学校生活を送るため、児童生徒の実態に合わせた目標やプログラムを作成し、個別のリハビリテーションを行っている。2.活動内容現在の豊成養護学校リハビリテーション部は、理学療法士2名、作業療法士3名で構成している。リハビリテーション部の具体的な活動内容は下記の通りである。1)リハビリテーション個別リハビリテーション(児童生徒一人当たりPT週1回、OT週1 回、計週2回のリハビリテーションの実施、リハビリテーション計画の作成、通知表の評価の作成、個別の教育支援計画の作成)、整形医療相談の実施、補装具等の製作とフォロー、長期休業中のリハビリテーション、ICF勉強会と各種カンファレンス、実習生の受け入れ2)教育活動のサポート登下校指導、摂食(給食)指導、水分補給・排泄指導、学習場面のサポート、日常生活場面のサポート、行事のサポート、旅行的行事への同行3)校内の他職種との連携ケース会議、家庭訪問、個別懇談、教育医療カンファレンス、歯科摂食相談、リハ見学週間、日常的な場面の共有と情報交換、リハビリテーション部主催の校内研修会、校内研究への参加4)外部との連携引き継ぎ(リハ報告書の作成)、支援会議への参加、医療機関等への同行、他機関との情報交換、北翔養護学校との合同部会の実施3.今後の課題豊成養護学校リハビリテーション部の五十川ら(2019)は、同校の教員に対してリハビリテーション部との協働に関するアンケート調査を実施した。その結果、リハビリテーション部と教員との協働をさらに進めるために必要なこととして、日常場面での情報交換・相談等の充実を求める声が最も多かった。この課題に対しては、教員と理学療法士・作業療法士が、授業と個別リハビリテーションを相互に見学する機会を増やすことや、給食の時間を有効に使って児童生徒のいる現場を共にする時間を増やすという取り組みが進められている。また五十川らは、リハビリテーション部職員が、特別支援教育の目的や支援方法、自立活動への理解を深めることで、より教育現場に適した支援ができることを指摘している。そして、ケース会議においては、「理学療法士・作業療法士の使用する用語がわかりにくい」「同じ用語でも教員が使用する場合と意味のずれがある」という声に対し、協働を進めるためには、そのような場面でも丁寧でわかりやすい表現を心がけることが大切であると述べている。【倫理的配慮、説明と同意】本報告については、札幌市立豊成養護学校の学校長及びリハビリテーション部職員の同意をいただいている。
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.1.0_142