肝細胞癌に対するTACE治療効果判定における新規病変の量的評価に関する検討

肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術(TACE)の効果判定の際,新規病変の量を評価する意義を検討した.対象は2010年4月から9月に肝細胞癌にTACEを実施できた50症例.TACE後1~3カ月後の画像および腫瘍マーカー(TM)にて2種類の方法で効果判定を実施.方法A:①既存病変の残存が50%以上,②新規病変あり,③TMが治療前の50%以上,のいずれかがあれば効果無し(NE)とし,それ以外を効果あり(E)とした.方法B:①③は同じ,②新規病変がある場合,既存病変の残存と併せて腫瘍量が治療前の50%以上,のいずれかがあればNEとし,それ以外をEとした.両方法ともE群とNE群で予後は有意に層別化され,med...

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Published in肝臓 Vol. 61; no. 12; pp. 692 - 699
Main Authors 片山, 和宏, 阿部, 友太朗, 大川, 和良, 和田, 浩志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.12.2020
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.61.692

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Summary:肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術(TACE)の効果判定の際,新規病変の量を評価する意義を検討した.対象は2010年4月から9月に肝細胞癌にTACEを実施できた50症例.TACE後1~3カ月後の画像および腫瘍マーカー(TM)にて2種類の方法で効果判定を実施.方法A:①既存病変の残存が50%以上,②新規病変あり,③TMが治療前の50%以上,のいずれかがあれば効果無し(NE)とし,それ以外を効果あり(E)とした.方法B:①③は同じ,②新規病変がある場合,既存病変の残存と併せて腫瘍量が治療前の50%以上,のいずれかがあればNEとし,それ以外をEとした.両方法ともE群とNE群で予後は有意に層別化され,median survival timeは,A法で68.5と21.8カ月,B法で51.4と12.6カ月であったが,A法でNE群と判定され,B法ではE群と判定された7例では29.0カ月であった.TACE後の新規病変の量を考慮した効果判定法は,新規病変が少ない症例において予後を反映した効果判定が出来る等,実臨床での有用性が示唆される.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.61.692