妊娠中に発症した,S状結腸間膜窩ヘルニアの1例

症例は35歳,女性。妊娠31週より切迫早産と診断され近医で内服加療行われたが,妊娠35週3日の時点で,腹痛の増悪と嘔吐がみられ当院入院となった。その後も腹痛と嘔吐が続いたため,腹部単純X線撮影を行いイレウスが疑われ腹部単純CT施行した。腹部単純CTで左側腹部に拡張小腸と,周囲に腹水も認めた。絞扼性イレウスの疑いで,妊娠35週6日緊急手術となった。帝王切開術を施行後,小腸の閉塞部を検索するとS状結腸間膜窩に小腸が嵌頓していた。嵌頓を環納し,嵌頓部小腸に血流障害を認めなかったため,腸管切除は行わなかった。母子ともに術後の経過特に問題なく術後8日目で退院となった。S状結腸間膜窩ヘルニアはまれな疾患で...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 3; pp. 289 - 292
Main Authors 遠田, 譲, 新井田, 達雄, 佐藤, 拓也, 飯野, 高之, 大石, 英人, 石多, 猛志, 石井, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.289

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Summary:症例は35歳,女性。妊娠31週より切迫早産と診断され近医で内服加療行われたが,妊娠35週3日の時点で,腹痛の増悪と嘔吐がみられ当院入院となった。その後も腹痛と嘔吐が続いたため,腹部単純X線撮影を行いイレウスが疑われ腹部単純CT施行した。腹部単純CTで左側腹部に拡張小腸と,周囲に腹水も認めた。絞扼性イレウスの疑いで,妊娠35週6日緊急手術となった。帝王切開術を施行後,小腸の閉塞部を検索するとS状結腸間膜窩に小腸が嵌頓していた。嵌頓を環納し,嵌頓部小腸に血流障害を認めなかったため,腸管切除は行わなかった。母子ともに術後の経過特に問題なく術後8日目で退院となった。S状結腸間膜窩ヘルニアはまれな疾患で,本邦では妊娠中に発症した報告例は認めなかった。今回われわれは,妊娠中に発症したS状結腸間膜窩ヘルニアの1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.289