回復期脳卒中者におけるリハビリテーション実施量がADL回復に与える影響 -BMIによる層別化解析
【はじめに、目的】リハビリテーションの実施量を増加させることは、脳卒中者の日常生活活動能力(Activities of daily living、以下ADL)回復に寄与すると報告されている。しかし、そのトレーナービリティーの特性を検討した報告は少ない。先行研究において、Body mass index(以下、BMI)は回復期脳卒中者のADL回復に影響を与える要因であると報告されており、リハビリテーション実施量がADL回復に与える影響はBMIによって修飾される可能性がある。そこで本研究では、リハビリテーションの実施量が回復期脳卒中者のADL回復に与える影響について、BMIにて層別化して検討した。【...
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Published in | Japanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 1.Suppl.No.2; p. 135 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
01.12.2022
Japanese Society of physical therapy for prevention |
Subjects | |
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ISSN | 2758-7983 |
DOI | 10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_135 |
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Summary: | 【はじめに、目的】リハビリテーションの実施量を増加させることは、脳卒中者の日常生活活動能力(Activities of daily living、以下ADL)回復に寄与すると報告されている。しかし、そのトレーナービリティーの特性を検討した報告は少ない。先行研究において、Body mass index(以下、BMI)は回復期脳卒中者のADL回復に影響を与える要因であると報告されており、リハビリテーション実施量がADL回復に与える影響はBMIによって修飾される可能性がある。そこで本研究では、リハビリテーションの実施量が回復期脳卒中者のADL回復に与える影響について、BMIにて層別化して検討した。【方法】対象者は2017年4月から2020年12月までに6施設の回復期リハビリテーション病棟に入棟した脳卒中者とした。包含基準は、発症前のADLが自立していた者、診断名が脳出血あるいは脳梗塞であった者とした。除外基準は、入棟時点でADLが自立していた者、入棟後1か月以内に退院した者、医学的状態の増悪により急性期病棟へ転科した者とした。調査項目は、入棟時のBMI、基本属性(年齢、性別など)、医学的情報(脳卒中の病型、併存疾患など)、1日あたりの平均リハビリテーション実施量(提供単位数)、および入棟時と退院時のFunctional Independence Measure(FIM)として、各施設の診療録より後方視的に調査した。アウトカム指標は、入棟時と退院時のFIM得点の差分であるFIM利得とした。本研究では、BMIについて18.5kg/m 2 未満を痩せ群、18.5 kg/m 2 以上25.0 kg/m 2 未満を普通群、25.0 kg/m 2以上を肥満群と定義した。統計解析では、入棟時のBMI別にリハビリテーション実施量がFIM利得に与える影響を検証するために、従属変数にFIM利得を、独立変数にリハビリテーション実施量を、調整変数にその他の変数を投入した重回帰分析を3群で層別化して行った。【結果】包含基準を満たした1536名のうち、507名が除外基準に該当し、 最終解析対象者は1029名となった。全対象者の平均年齢は69.5±13.1歳、性別は男性が664名(64.5%)、平均リハビリテーション実施量は138.7±26.8分/日、平均BMIは22.1±3.6kg/m 2であり、痩せ群は129名(75.2歳、男性44.2%)、普通群は701名(70.3±12.5歳、男性65.2%)、肥満群は199名(62.9±12.9歳、男性75.4%)であった。FIM利得の平均値は、痩せ群で26.0±21.7点、普通群で30.7±17.2点、肥満群で33.8±18.4点であった。重回帰分析の結果、リハビリテーション実施量は痩せ群(標準化回帰係数β = 0.29, p < 0.001)と普通群(β = 0.18,p < 0.001)においてFIM利得に有意な影響を与えていた。肥満群では、リハビリテーション実施量はFIM利得に対して有意な影響を与えていなかった(β = 0.060, p = 0.234)。【結論】リハビリテーション実施量が回復期脳卒中者のADL回復に与える影響は入棟時BMIによって異なっていた。リハビリテーション実施量は痩せ群および普通群において、その実施量の増加がADL回復の促進に有効であることが示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は、全研究協力機関の各倫理審査委員会の承認を得て行った(代表施設の承認番号:R2-38)。本研究は後方視的調査であったため、各施設の規程に則ってオプトアウトを実施し、研究対象者が参加を拒否できる機会を保障した。本研究に際し得た情報は個人を特定できないように匿名化した。また、データを保存した電子媒体に暗証番号を設定して、共同研究者以外に情報が漏洩しないように十分配慮した。 |
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ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_135 |