重症小脳梗塞の外科的治療 脳室ドレナージか梗塞巣切除術か

「はじめに」 小脳梗塞の発生頻度は全脳梗塞の5%以下であり, 比較的まれな疾患である. 合併する脳幹梗塞の重症度にその予後は影響され, 脳幹梗塞を合併しない本症の予後は一般に良好である. 一方, 内科的治療のみでは救命しえない重症小脳梗塞例があることも知られる. 占拠性病変としての小脳梗塞では虚血性小脳腫脹により脳幹圧迫および水頭症が惹起され, 適切な外科的治療がなされなければ, 死亡率は23~80%と報告されている. しかし, これらの症例は眩暈, 吐き気などの非特異的症状で発症するため, 必ずしも脳神経内科や脳神経外科を初診せず, 一般病院や専門病院の一般内科あるいは循環器内科に入院し,...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 23; no. 2; pp. 87 - 92
Main Authors 安本, 幸正, 佐藤, 潔, 園川, 忠男, 三科, 秀人, 伊藤, 昌徳, 坂東, 邦明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 30.03.1995
日本脳卒中の外科研究会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.23.2_87

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Summary:「はじめに」 小脳梗塞の発生頻度は全脳梗塞の5%以下であり, 比較的まれな疾患である. 合併する脳幹梗塞の重症度にその予後は影響され, 脳幹梗塞を合併しない本症の予後は一般に良好である. 一方, 内科的治療のみでは救命しえない重症小脳梗塞例があることも知られる. 占拠性病変としての小脳梗塞では虚血性小脳腫脹により脳幹圧迫および水頭症が惹起され, 適切な外科的治療がなされなければ, 死亡率は23~80%と報告されている. しかし, これらの症例は眩暈, 吐き気などの非特異的症状で発症するため, 必ずしも脳神経内科や脳神経外科を初診せず, 一般病院や専門病院の一般内科あるいは循環器内科に入院し, 入院中に急変してはじめて診断が確定することが多い. 占拠性小脳梗塞に対する外科的治療として, 従来, 上行性ヘルニアを懸念して脳室ドレナージが施行されることは少なく, 小脳切除による内減圧術が一般的治療法であった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.23.2_87