当院における急性虫垂炎治療の変遷と評価

当院では2005年以前,急性虫垂炎は保存治療を原則としていたが,2006年に腹腔鏡下虫垂切除術を導入後,カタル性虫垂炎,腫瘤形成性虫垂炎以外は積極的に手術を行う方針に転換した。1997年から2010年9月までの急性虫垂炎症例1,290例を対象とし,保存治療完遂群,保存治療から手術への移行群,および来院時手術群の成績を検討した。また,開腹手術と腹腔鏡下手術の成績を比較検討した。平均在院日数は,保存完遂群と腹腔鏡下手術群が6.9日と最短であった。しかし,保存完遂群に15日以上の長期入院を要する例を7%に認めた。手術移行群,手術群とも,腹腔鏡下手術は開腹手術と比べ,在院日数は短い傾向にあり,術後合併...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 32; no. 4; pp. 751 - 755
Main Authors 富澤, 直樹, 濱野, 郁美, 清水, 尚, 五十嵐, 隆通, 小川, 哲史, 須納瀬, 豊, 榎田, 泰明, 田中, 俊行, 荻野, 美里, 安東, 立正, 荒川, 和久, 竹吉, 泉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.751

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Summary:当院では2005年以前,急性虫垂炎は保存治療を原則としていたが,2006年に腹腔鏡下虫垂切除術を導入後,カタル性虫垂炎,腫瘤形成性虫垂炎以外は積極的に手術を行う方針に転換した。1997年から2010年9月までの急性虫垂炎症例1,290例を対象とし,保存治療完遂群,保存治療から手術への移行群,および来院時手術群の成績を検討した。また,開腹手術と腹腔鏡下手術の成績を比較検討した。平均在院日数は,保存完遂群と腹腔鏡下手術群が6.9日と最短であった。しかし,保存完遂群に15日以上の長期入院を要する例を7%に認めた。手術移行群,手術群とも,腹腔鏡下手術は開腹手術と比べ,在院日数は短い傾向にあり,術後合併症も少なかった。よって初回治療としての腹腔鏡下手術は妥当と思われた。高度炎症例に待機的腹腔鏡下手術を行った場合,在院日数は短く,術後合併症もなく,高度炎症例の治療の選択肢となり得ると思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.751