狭窄型虚血性小腸炎に対して腹腔鏡補助下に小腸部分切除術を施行した1例
78歳男性。腹痛を認め近医を受診し,回腸末端腸炎として保存的加療を受けた。症状は一旦軽快するも,再燃を認め,加療開始3ヵ月後に精査加療目的紹介となった。経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡検査では,バウヒン弁から20cmの回腸に全周性狭窄を認め,内視鏡の通過は不可能であった。狭窄部より肛門側回腸粘膜は発赤やびらん,顆粒状隆起を認めた。生検や培養より悪性・結核所見は認めず,虚血性小腸炎が疑われ,病理学的診断目的も兼ね,発症より143日後に腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好で,第14病日に退院となった。病理所見は特異的炎症を示唆する所見や腫瘍性病変は認めず,虚血性小腸炎として矛盾しな...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 4; pp. 855 - 858 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.34.855 |
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Summary: | 78歳男性。腹痛を認め近医を受診し,回腸末端腸炎として保存的加療を受けた。症状は一旦軽快するも,再燃を認め,加療開始3ヵ月後に精査加療目的紹介となった。経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡検査では,バウヒン弁から20cmの回腸に全周性狭窄を認め,内視鏡の通過は不可能であった。狭窄部より肛門側回腸粘膜は発赤やびらん,顆粒状隆起を認めた。生検や培養より悪性・結核所見は認めず,虚血性小腸炎が疑われ,病理学的診断目的も兼ね,発症より143日後に腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好で,第14病日に退院となった。病理所見は特異的炎症を示唆する所見や腫瘍性病変は認めず,虚血性小腸炎として矛盾しない所見であった。まれである狭窄型虚血性小腸炎に対し腹腔鏡下手術を施行した報告は少ない。今回,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行し,良好な経過をたどった1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.34.855 |