末梢血管抵抗と反射波の関係:循環モデルを用いたWI解析

[目的]高血圧症には末梢血管抵抗が大きく関係している。近年、循環動態の詳細な解析方法としてWave intensity(WI )が注目されている。WI(WI=(dP/dt)(dU/dt) P:血圧,U:流速)は心血管系の動作状態の変化に対応して変化するので、心血管系の解析手段として有用な循環動態指標である。WI波形において駆出初期の陽性波に続いて生じる陰性波は反射波の優位性を表し、その出現時相および反射波面積(NA)はそれぞれ反射の出現部位と大きさを示すことが推測される.本研究では末梢血管抵抗に注目し、末梢血管抵抗を変化させた際にどのように反射波が変化するかを検討した。生体で末梢血管抵抗を変化...

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Published in生体医工学 Vol. 55Annual; no. 5PM-Abstract; p. 469
Main Authors 武内, 新作, 仁木, 清美, 平山, 貢大, 村田, 雅登, 菅原, 基晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2017
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Summary:[目的]高血圧症には末梢血管抵抗が大きく関係している。近年、循環動態の詳細な解析方法としてWave intensity(WI )が注目されている。WI(WI=(dP/dt)(dU/dt) P:血圧,U:流速)は心血管系の動作状態の変化に対応して変化するので、心血管系の解析手段として有用な循環動態指標である。WI波形において駆出初期の陽性波に続いて生じる陰性波は反射波の優位性を表し、その出現時相および反射波面積(NA)はそれぞれ反射の出現部位と大きさを示すことが推測される.本研究では末梢血管抵抗に注目し、末梢血管抵抗を変化させた際にどのように反射波が変化するかを検討した。生体で末梢血管抵抗を変化させることは困難であるため心血管系を模擬した循環モデルを用いた。[方法]擬似弾性血管が組み込まれた循環モデルを作成し、超音波診断装置を用いて末梢血管抵抗の大きさと位置を変化させた時のWIを計測した。シリンジポンプによりドップラー擬似血液材を循環させ、末梢血管抵抗の大きさはクランプでチューブを潰す事により変化させた。[結果]末梢血管抵抗を増加させるとNAの深さと面積が増大し、反射点の位置を変化させると反射波の出現時相が変化した。末梢血管抵抗とNAの深さや面積、出現時相は高い相関関係を示した。[結論]WIのNAは末梢血管抵抗の強さと反射波の出現時相を表す有用な指標である。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.55Annual.469