乳頭乳輪部分切除を伴う乳房温存術29例の経験

目的:乳頭内乳管,乳輪下に乳管内伸展の疑われた早期乳癌に対して乳頭乳輪部分切除を伴う乳房温存術を施行し,その根治性と安全性を検討した.方法:術前乳房MRI(3.0テスラー)造影画像で乳管内伸展を判定した.2015年5月から2019年12月までに本術式を施行した連続29例を対象とした.結果:全例女性,平均年齢58.5歳.主病巣占拠部位は乳頭乳輪部にかかるもの10例,その他の部位19例であった.術前乳房MRIでTis 9例,T1 15例,T2 5例であった.術前乳房MRIで乳頭内乳管進展ありと判定した10例中,術後病理診断で正診の4例いずれも乳頭内乳管が太く明瞭に造影されていた.29例中,術後病理...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 12; pp. 2411 - 2417
Main Authors 小川, 明男, 伊東, 悠子, 野尻, 基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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Summary:目的:乳頭内乳管,乳輪下に乳管内伸展の疑われた早期乳癌に対して乳頭乳輪部分切除を伴う乳房温存術を施行し,その根治性と安全性を検討した.方法:術前乳房MRI(3.0テスラー)造影画像で乳管内伸展を判定した.2015年5月から2019年12月までに本術式を施行した連続29例を対象とした.結果:全例女性,平均年齢58.5歳.主病巣占拠部位は乳頭乳輪部にかかるもの10例,その他の部位19例であった.術前乳房MRIでTis 9例,T1 15例,T2 5例であった.術前乳房MRIで乳頭内乳管進展ありと判定した10例中,術後病理診断で正診の4例いずれも乳頭内乳管が太く明瞭に造影されていた.29例中,術後病理診断で乳管内進展が乳輪外に留まっていたのは1例のみであった.術後病理検索で断端癌陽性は乳頭側断端癌陽性2例,深部断端癌陽性1例,側方断端癌陽性1例で,癌陽性例はいずれも乳管内成分のみで陽性であった.結語:この術式にかかわる乳頭側断端癌陽性例は2例のみでいずれも乳管内成分で,本術式は安全性・根治性に問題ないと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.2411