経肛門的手術により一期的に治癒し得た杙創による直腸損傷の1例

症例は34歳女性。散歩中に1mの高さから植木を飛び越えたときに,転倒し枝が臀部に刺さり受傷。創部より出血および便の付着を認め,腸管損傷疑いで当院に救急搬送となった。肛門周囲皮膚の9時方向に径3cmの挫創があり血腫と便の付着を認めた。腹部CT検査では直腸の右側に腸管外ガス像を認めたが,腹腔内に遊離ガス像は認めなかった。注腸検査では造影剤の腸管外漏出を認めた。以上より杙創による直腸損傷と診断し緊急手術を施行した。経肛門的に観察すると肛門縁より3cmの直腸に1/3周性の穿通創を認めた。洗浄後,経肛門的に損傷部を縫合しドレーンを留置して,一期的縫合閉鎖とした。経過は良好で術後19日目に退院した。杙創と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 3; pp. 525 - 528
Main Authors 佐々木, 大祐, 國場, 幸均, 四万村, 司, 田中, 圭一, 大坪, 毅人, 小倉, 佑太, 岸, 龍一, 大島, 隆一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.525

Cover

More Information
Summary:症例は34歳女性。散歩中に1mの高さから植木を飛び越えたときに,転倒し枝が臀部に刺さり受傷。創部より出血および便の付着を認め,腸管損傷疑いで当院に救急搬送となった。肛門周囲皮膚の9時方向に径3cmの挫創があり血腫と便の付着を認めた。腹部CT検査では直腸の右側に腸管外ガス像を認めたが,腹腔内に遊離ガス像は認めなかった。注腸検査では造影剤の腸管外漏出を認めた。以上より杙創による直腸損傷と診断し緊急手術を施行した。経肛門的に観察すると肛門縁より3cmの直腸に1/3周性の穿通創を認めた。洗浄後,経肛門的に損傷部を縫合しドレーンを留置して,一期的縫合閉鎖とした。経過は良好で術後19日目に退院した。杙創とは,鈍的な先端をもつ物体が身体を貫通することにより生じた穿通性損傷であり比較的まれな外傷形態である。臀部においては骨盤内や腹腔内臓器損傷の有無を早期に診断し適切な治療を行う必要があると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.525