乳癌センチネルリンパ節生検における潜在性転移の臨床的意義

原発性乳癌1,043例を対象としてセンチネルリンパ節生検後の再発予後を解析することにより,センチネルリンパ節に潜在性転移を有する症例の臨床的意義および取り扱いについて検証した.センチネルリンパ節生検で転移を認めず腋窩郭清を省略した症例は875例であったが,術後の再検索で49例(5.6%)に潜在性転移を認め,術後補助療法を施行した後に経過観察を行った.観察期間中央値75カ月において潜在性転移群の5年無再発生存率は85.0%,腋窩郭清群では87.9%であった.潜在性転移群のリンパ節再発および遠隔再発は,ともに転移陰性群よりも高率に生じたが(p<0.001),腋窩郭清群との間には有意差はなく,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 12; pp. 3021 - 3025
Main Authors 長嶋, 健, 榊原, 雅裕, 藤本, 浩司, 鈴木, ティベリュウ浩志, 藤咲, 薫, 椎名, 伸充, 中谷, 行雄, 宮崎, 勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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Summary:原発性乳癌1,043例を対象としてセンチネルリンパ節生検後の再発予後を解析することにより,センチネルリンパ節に潜在性転移を有する症例の臨床的意義および取り扱いについて検証した.センチネルリンパ節生検で転移を認めず腋窩郭清を省略した症例は875例であったが,術後の再検索で49例(5.6%)に潜在性転移を認め,術後補助療法を施行した後に経過観察を行った.観察期間中央値75カ月において潜在性転移群の5年無再発生存率は85.0%,腋窩郭清群では87.9%であった.潜在性転移群のリンパ節再発および遠隔再発は,ともに転移陰性群よりも高率に生じたが(p<0.001),腋窩郭清群との間には有意差はなく,また転移の大きさでも差を認めなかった.術後にセンチネルリンパ節の潜在性転移が判明した場合でも,転移陽性例に準じた補助治療を施行すれば生命予後に対する影響は少なく,腋窩郭清を省略することが可能と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.3021