結石の経時的移動の観察により低侵襲な治療が可能となった胆石イレウスの1例

症例は57歳,男性。以前,胆石胆囊炎を発症したが,以降通院しなかった。6年後,腹痛,嘔吐が出現し,胆石イレウスと診断され入院となった。腹部CT検査にて十二指腸水平脚に30mm大の石灰化腫瘤影を認め,その後,結石は空腸内にまで移動した。以降イレウス症状を繰り返したため,保存的加療困難と考えて手術を施行した。手術は単孔式腹腔鏡下に結石の嵌頓部位を同定し,臍部の小切開創から小腸を体外に導出し,切開し,採石を行った。胆石イレウスに対する標準的術式は定まっていないが,小腸に存在する結石に対しては,腹腔鏡下での解除が望ましいと考える。十二指腸に嵌頓した結石に関しても小腸に移動するとする報告が多数存在し,同...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 163 - 167
Main Authors 丸山, 傑, 岡本, 廣挙, 川島, 健司, 藤井, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
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Summary:症例は57歳,男性。以前,胆石胆囊炎を発症したが,以降通院しなかった。6年後,腹痛,嘔吐が出現し,胆石イレウスと診断され入院となった。腹部CT検査にて十二指腸水平脚に30mm大の石灰化腫瘤影を認め,その後,結石は空腸内にまで移動した。以降イレウス症状を繰り返したため,保存的加療困難と考えて手術を施行した。手術は単孔式腹腔鏡下に結石の嵌頓部位を同定し,臍部の小切開創から小腸を体外に導出し,切開し,採石を行った。胆石イレウスに対する標準的術式は定まっていないが,小腸に存在する結石に対しては,腹腔鏡下での解除が望ましいと考える。十二指腸に嵌頓した結石に関しても小腸に移動するとする報告が多数存在し,同様に低侵襲な治療が可能であると考えられる。今回,結石の経時的移動の観察により,低侵襲な治療が可能となった貴重な症例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.163