口腔内症状を伴ったRecklinghausen氏病の1例

多発性神経線維腫は1882年Recklinghausenによって報告されて以来, 各科領域で数多くの報告がなされ, 今日ではRecklinghausen氏病 (以下R病と略す) と呼ぼれることが多い.R病は神経系における多発性神経線維腫と皮膚の色素性病変を主要症候とする疾患として知られているが, 口腔内に病変の発現をみるものは比較的少ないとされている.今回われわれは口腔内に神経線維腫の発現をみたR病の1例を経験した.症例は36歳, 男性で, 4の近心から7の遠心相当部の頬側歯肉にくるみ大の腫瘤が認められた.頸部, 腹部, 背部および前腕部の皮膚に米粒大から小指頭大の多数の腫瘤を認め, 腹部およ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 2; no. 2; pp. 172 - 176
Main Authors 茶園, 基史, 桜田, 重世, 吉屋, 誠, 倉地, 洋一, 南雲, 正男, 山名, 裕見, 立川, 哲彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 1983
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:多発性神経線維腫は1882年Recklinghausenによって報告されて以来, 各科領域で数多くの報告がなされ, 今日ではRecklinghausen氏病 (以下R病と略す) と呼ぼれることが多い.R病は神経系における多発性神経線維腫と皮膚の色素性病変を主要症候とする疾患として知られているが, 口腔内に病変の発現をみるものは比較的少ないとされている.今回われわれは口腔内に神経線維腫の発現をみたR病の1例を経験した.症例は36歳, 男性で, 4の近心から7の遠心相当部の頬側歯肉にくるみ大の腫瘤が認められた.頸部, 腹部, 背部および前腕部の皮膚に米粒大から小指頭大の多数の腫瘤を認め, 腹部および頸部から背部にかけての皮膚に茶褐色の色素沈着が認められた.R病の臨床診断のもとに口腔内腫瘤の摘出術ならびに腹部の1個の小腫瘤の切除を行った.病理組織診断は神経線維腫であった.術後1年を経た現在, 再発の傾向もなく, 経過は良好である
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.2.172