大動脈解離が両側総頸動脈に及んでいた1症例の頸動脈エコー所見

急性大動脈解離は緊急手術を要する疾患である. 通常激しい胸背部痛を随伴するが, まれに胸背部痛を伴わない例や, 脳梗塞の合併により意識障害を来たし, 病歴を聴取できないこともある. この場合, 神経症状のみが主体で神経内科医が診察に当たることが多く, 大動脈解離を積極的に疑うことは少ない. 今回我々は左片麻痺で発症し, 頸部血管エコー検査により両側総頸動脈解離を伴った, 急性大動脈解離と診断し得た一例を経験したので報告する. 症例 患者:75歳男性 主訴:吃逆, 呂律緩慢, 歩行障害 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 生活歴:喫煙歴なし, 飲酒歴;缶ビール1本/日×50年. 現病歴:20...

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Published inNeurosonology Vol. 17; no. 1; pp. 28 - 30
Main Authors 竹川, 英宏, 江幡, 敦子, 田中, 秀明, 山崎, 薫, 松下, 恭, 望月, 吉彦, 平田, 幸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経超音波学会 2004
日本脳神経超音波学会
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Summary:急性大動脈解離は緊急手術を要する疾患である. 通常激しい胸背部痛を随伴するが, まれに胸背部痛を伴わない例や, 脳梗塞の合併により意識障害を来たし, 病歴を聴取できないこともある. この場合, 神経症状のみが主体で神経内科医が診察に当たることが多く, 大動脈解離を積極的に疑うことは少ない. 今回我々は左片麻痺で発症し, 頸部血管エコー検査により両側総頸動脈解離を伴った, 急性大動脈解離と診断し得た一例を経験したので報告する. 症例 患者:75歳男性 主訴:吃逆, 呂律緩慢, 歩行障害 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 生活歴:喫煙歴なし, 飲酒歴;缶ビール1本/日×50年. 現病歴:2002年3月25日起床時より起立困難, 歩行障害が出現したが, 夕方には消失した. 翌26日起床時より再度起立困難, 歩行障害を認め, 呂律緩慢, 吃逆も出現したため3月27日当院を受診した. 入院時現症:一般理学的所見では, 上肢血圧は左右差なく124/82mmHg, 脈拍78/分整, 胸部聴診上も異常を認めなかった.
ISSN:0917-074X
DOI:10.2301/neurosonology.17.28