頭頸部がん患者の治療と仕事の両立支援に関する介入 システマティックレビュー

【はじめに、目的】 頭頸部がんは就労世代 (20-64歳)で10万人あたり128人と一定数罹患する疾患のため、治療と仕事の両立支援(以下、両立支援)ニーズは高いと予想される。一方、復職状況について十分に把握できていない状況がある。そこで本研究では、就労世代における頭頸部がん患者の復職及び就労継続に関する介入を文献調査にて抽出し必要な両立支援を検討することとした。 【方法】 キーワードを用いPubMedのデータベースを検索した。研究者 2名が独立しヒットした英語文献について文献選別を行った。意見が分かれた場合、第3者との協議を行った。包含基準は1)研究デザインが無作為化比較試験、非無作為化比較試...

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Published inJapanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 2.Suppl.No.1; p. 388
Main Authors 村上, 武史, 佐伯, 覚, 立石, 清一郎, 樋口, 周人, 高木, 絵里子, 原田, 有理紗, 舩津, 康平, 久原, 聡志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2024
Japanese Society of physical therapy for prevention
Online AccessGet full text
ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_388

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Summary:【はじめに、目的】 頭頸部がんは就労世代 (20-64歳)で10万人あたり128人と一定数罹患する疾患のため、治療と仕事の両立支援(以下、両立支援)ニーズは高いと予想される。一方、復職状況について十分に把握できていない状況がある。そこで本研究では、就労世代における頭頸部がん患者の復職及び就労継続に関する介入を文献調査にて抽出し必要な両立支援を検討することとした。 【方法】 キーワードを用いPubMedのデータベースを検索した。研究者 2名が独立しヒットした英語文献について文献選別を行った。意見が分かれた場合、第3者との協議を行った。包含基準は1)研究デザインが無作為化比較試験、非無作為化比較試験などの介入研究、観察研究であるもの、2)対象者が頭頸部がん診断時に有給雇用の可能性がある18歳以上であるもの、3)介入方法が復職及び就労継続に影響する要因及び障壁への対処(職場での調整、身体的活動、手術、多職種連携)であるもの、とした。除外基準は1)レター等の一般的論文体裁を成さないもの、2)レビュー論文、3)小児がん等の就労能力未獲得の患者へのアプローチであるもの、4)リスク要因の検討のみの論文とした。 【結果】 検索の結果、PubMedで1125編がヒットした。タイトル及びアブストラクトから今回の目的に該当する文献は61編に絞られ、本文の詳細な検討により最終的に15編が抽出された。 15編のうち、理学療法士が関与した介入が2編、言語聴覚療法に関連した介入が2編であった。介入の場は、全て医療機関であった。介入の評価について、健康関連QOLをアウトカムに設定した者が7編と最多で、次いで復職率が2編、病休期間が1編であった。他にも不安・うつや会話能力をアウトカムとしていた報告があった。 【考察】 今回の調査では、頭頸部がん患者の復職率は32-90%と幅が広 かったが、これは頭頸部がん患者での復職は一般に残存した身体機能に依存するためである。頭頸部がん治療後に生じる身体機能低下や障害としては、発声や会話の障害、疲労、副神経麻痺、呼吸障害などの頻度が高く、これらの症状の出現が少ない、あるいは、症状が影響しない作業に従事している患者ほど復職しやすいと考えられる。頭頸部がんにおいては身体機能の改善が復職する上で重要となるが、理学療法士の介入に対し復職に関する評価をした報告は少なかった。 【結論】 今後、復職及び就労継続をアウトカムとした研究の発展が期待される。
Bibliography:SP-01-1
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_388