経時的な観察にて病態の複雑さが示唆されたoscillating thrombusの2例

「はじめに」Oscillating thrombus(OT)は頸部エコー検査で心拍動と同期して可動する頭蓋内血管陰影と定義されている. OTは塞栓性機序により内頸動脈(internal carotid artery; ICA)の急性閉塞で生じうる所見で遠位部における血栓閉塞の後, 近位に向かって血栓が伸長している過程を見ているものとされる. OTの経時的観察を通じて, その病態の複雑さが示唆された2症例を報告する. 「症例提示」「症例1」元飲食店経営者の70歳代女性で心原性脳塞栓症の再発症例である. 徐脈性心房細動に対しペースメーカー埋め込み後で, 抗凝固療法中であった. 突然発症の意識障害と...

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Published inNeurosonology Vol. 28; no. 3; pp. 142 - 145
Main Authors 國場, 和仁, 崎間, 洋邦, 金城, よしの, 波平, 幸裕, 城間, 加奈子, 伊佐, 勝憲, 渡嘉敷, 崇, 大屋, 祐輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経超音波学会 2015
日本脳神経超音波学会
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Summary:「はじめに」Oscillating thrombus(OT)は頸部エコー検査で心拍動と同期して可動する頭蓋内血管陰影と定義されている. OTは塞栓性機序により内頸動脈(internal carotid artery; ICA)の急性閉塞で生じうる所見で遠位部における血栓閉塞の後, 近位に向かって血栓が伸長している過程を見ているものとされる. OTの経時的観察を通じて, その病態の複雑さが示唆された2症例を報告する. 「症例提示」「症例1」元飲食店経営者の70歳代女性で心原性脳塞栓症の再発症例である. 徐脈性心房細動に対しペースメーカー埋め込み後で, 抗凝固療法中であった. 突然発症の意識障害と四肢麻痺で救急搬送された. 来院時NIHSSは29点, 身長153cm, 体重44.2kg, 血圧126/60mmHg, 心拍数は70/min, ペースメーカー波形であった. 血液生化学所見ではPT-INR 1.93, D-dimerは2.1μg/mlであった.
ISSN:0917-074X
DOI:10.2301/neurosonology.28.142