中川論文に対するEditorial Comment
中川論文はステロイド投与によりペースメーカー植え込みを回避し得た心サルコイドーシス(心サ症)の症例報告である. 本論文で著者らはサルコイドーシスにおけるステロイド投与の重要性を指摘するとともに高度房室ブロックがステロイドにより改善したと報告している. サルコイドーシスは, 肺, リンパ節, 皮膚, 眼, 心臓, 筋肉など全身諸臓器に乾酪壊死を認めない類上皮細胞肉芽腫が形成される全身性の肉芽腫性疾患である. 本来予後良好な疾患であるが, ひとたび心サ症を合併すると心不全や不整脈をきたし予後不良とされている. 病期が進行し, 心機能の低下した症例ではステロイドの効果を認めなくなることが報告されてお...
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Published in | Shinzo Vol. 42; no. 4; pp. 509 - 510 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
日本心臓財団 Japan Heart Foundation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.42.509 |
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Summary: | 中川論文はステロイド投与によりペースメーカー植え込みを回避し得た心サルコイドーシス(心サ症)の症例報告である. 本論文で著者らはサルコイドーシスにおけるステロイド投与の重要性を指摘するとともに高度房室ブロックがステロイドにより改善したと報告している. サルコイドーシスは, 肺, リンパ節, 皮膚, 眼, 心臓, 筋肉など全身諸臓器に乾酪壊死を認めない類上皮細胞肉芽腫が形成される全身性の肉芽腫性疾患である. 本来予後良好な疾患であるが, ひとたび心サ症を合併すると心不全や不整脈をきたし予後不良とされている. 病期が進行し, 心機能の低下した症例ではステロイドの効果を認めなくなることが報告されており, 心サ症は早期診断・加療が重要とされている1). しかし心筋生検の感度が低いため, 心臓以外に明らかな病変を認めない場合サルコイドーシスの診断には苦慮することが多い. 近年, 心サ症の早期診断にPET(positron emission tomography)の有用性が指摘されている2). |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.509 |