大量下血のため緊急手術を施行した腸結核の1例

65歳,男性。約5ヵ月前から発熱と腹痛が軽快しないため近医を受診した。CTおよび超音波検査で腹腔内リンパ節腫大を認め,可溶性IL-2レセプターは高値を示した。悪性リンパ腫を疑い,開腹生検目的で当科入院となった。入院5日目に大量下血による出血性ショックのため緊急開腹手術を施行した。回盲弁から200cm口側の回腸の漿膜面に多数の粟粒大黄白色結節を帯状かつ非連続性に認めた。出血点は確認できなかったが,病変が存在する約200cmの回腸を含む回盲部切除を施行し,回腸人工肛門を造設した。摘出標本では,回腸内に非連続性の潰瘍性病変を認めた。病理組織検査では,Ziehl-Neelsen染色で類上皮肉芽腫内に結...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 36; no. 3; pp. 655 - 659
Main Authors 谷川, 雅彦, 山口, 圭三, 亀井, 英樹, 平川, 浩明, 中山, 剛一, 内田, 信治, 森田, 道, 山口, 倫, 赤木, 由人, 緒方, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
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Summary:65歳,男性。約5ヵ月前から発熱と腹痛が軽快しないため近医を受診した。CTおよび超音波検査で腹腔内リンパ節腫大を認め,可溶性IL-2レセプターは高値を示した。悪性リンパ腫を疑い,開腹生検目的で当科入院となった。入院5日目に大量下血による出血性ショックのため緊急開腹手術を施行した。回盲弁から200cm口側の回腸の漿膜面に多数の粟粒大黄白色結節を帯状かつ非連続性に認めた。出血点は確認できなかったが,病変が存在する約200cmの回腸を含む回盲部切除を施行し,回腸人工肛門を造設した。摘出標本では,回腸内に非連続性の潰瘍性病変を認めた。病理組織検査では,Ziehl-Neelsen染色で類上皮肉芽腫内に結核菌が同定され腸結核と診断した。術後14日目に結核の治療目的で転院となった。腸結核は日常臨床では遭遇する機会が少ないが,下血や回盲部の多発潰瘍性病変の鑑別疾患として念頭に置く必要がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.655