乳糜腹水を伴った絞扼性イレウスの1例

症例は65歳女性。既往に37歳時に胃潰瘍で胃部分切除術を施行している。腹痛で当院受診し, 腹部造影CT検査でwhirl signを認め,絞扼性イレウスと診断した。症状出現より3時間後に緊急手術施行した。開腹すると乳白色の腹水を認め,腹水中のトリグリセリドは610mg/dLと高値で乳糜腹水と診断した。小腸は著明に拡張しており,180度捻転していた。捻転した小腸は乳白色調で用手的に整復し,切除しなかった。術後経過は良好で第7病日に退院した。乳糜腹水の原因はさまざまであるが,絞扼性イレウスによる乳糜腹水の報告は少ない。病態としては低圧のリンパ管のみが閉塞し,乳糜腹水となったと考えられる。本邦では15...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 34; no. 4; pp. 911 - 914
Main Authors 円城寺, 恩, 村瀬, 秀明, 大野, 玲, 平岡, 優, 吉野, 内聡, 石場, 俊之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2014
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.34.911

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Summary:症例は65歳女性。既往に37歳時に胃潰瘍で胃部分切除術を施行している。腹痛で当院受診し, 腹部造影CT検査でwhirl signを認め,絞扼性イレウスと診断した。症状出現より3時間後に緊急手術施行した。開腹すると乳白色の腹水を認め,腹水中のトリグリセリドは610mg/dLと高値で乳糜腹水と診断した。小腸は著明に拡張しており,180度捻転していた。捻転した小腸は乳白色調で用手的に整復し,切除しなかった。術後経過は良好で第7病日に退院した。乳糜腹水の原因はさまざまであるが,絞扼性イレウスによる乳糜腹水の報告は少ない。病態としては低圧のリンパ管のみが閉塞し,乳糜腹水となったと考えられる。本邦では15例の乳糜腹水を伴う絞扼性イレウスの報告があるが,腸管切除となった報告はない。乳糜腹水を伴う絞扼性イレウスは,腸管温存の可能性が期待できる興味深い病態と考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.34.911