脈波からの呼吸性不整脈位相カップリングを用いたストレスモニターの開発

本研究の目的は、心理ストレスを評価するウェアラブルデバイスを開発し、個人のヘルスケアへと寄与することである。心理ストレスの指標として、副交感神経活動の指標である呼吸性不整脈(RSA)がある。しかし,RSAは呼吸周波数の影響を強く受け,定量的な評価は難しい。先行研究により、RSAと呼吸リズム間の位相コヒーレンス(&lambda)は呼吸周波数の影響を受けにくく,心拍変動から推定した心理的ストレス指標と相関することが実証されている。この知見をウェアラブルデバイスに応用するため,本研究では脈波のみを用いて計測可能か検討を行った。健常成人9名を対象に,座位姿勢において指尖脈波、心電図、呼吸流速を...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. 55Annual; no. 3PM-Abstract; p. 242
Main Authors 齊藤, 直, 渡部, 真, 鵜川, 成美, 新関, 久一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2017
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.55Annual.242

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Summary:本研究の目的は、心理ストレスを評価するウェアラブルデバイスを開発し、個人のヘルスケアへと寄与することである。心理ストレスの指標として、副交感神経活動の指標である呼吸性不整脈(RSA)がある。しかし,RSAは呼吸周波数の影響を強く受け,定量的な評価は難しい。先行研究により、RSAと呼吸リズム間の位相コヒーレンス(&lambda)は呼吸周波数の影響を受けにくく,心拍変動から推定した心理的ストレス指標と相関することが実証されている。この知見をウェアラブルデバイスに応用するため,本研究では脈波のみを用いて計測可能か検討を行った。健常成人9名を対象に,座位姿勢において指尖脈波、心電図、呼吸流速を3分間計測した。beat-by-beatで計測した脈波間隔からband-pass filterによりRSAを抽出した。また,脈波の呼吸性振幅変調から呼吸リズムを推定した。ヒルベルト変換を用いてRSAと呼吸の解析信号を求め,瞬時位相差から&lambdaを10秒窓で計算し,心電図と実測呼吸波形を用いて求めた&lambdaと精度を比較した。両手法の&lambdaの相関係数はr = 0.62,Bland-Altman plotでは系統誤差は見られず,平均二乗誤差は0.14であった。脈波のみの計測からストレス指標の導出は可能と思われた。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.55Annual.242