オール・セラミック・クラウン (セレストア・クラウン) の基礎的検索

新しく開発されたセレストア・クラウンの基礎的検討として適合試験および強度試験を行った.適合試験では, 臼歯を単純化した全周ショルダー・タイプの歯型上でセレストア・クラウンと金属焼付ポーセレン冠を製作し, 冠辺縁の垂直変位量を測定した.測定は各製作段階およびセメント合着後に行い, 冠辺縁部の測定後, 試料を切断して内面の適合状態を観察した.セレストア・クラウンの垂直変位量は, コア焼成後では11μm, 歯冠色陶材焼成後では19μm, セメント合着後では34μmと金属焼付ポーセレン冠の垂直変位量の約1/4の値を示し, セレストア・クラウンの適合性は良好であった.強度試験はインストロン万能試験機を用...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 210 - 220
Main Author 万代, 倫嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 1988
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ISSN0285-922X
2186-5396
DOI10.11516/dentalmedres1981.8.210

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Summary:新しく開発されたセレストア・クラウンの基礎的検討として適合試験および強度試験を行った.適合試験では, 臼歯を単純化した全周ショルダー・タイプの歯型上でセレストア・クラウンと金属焼付ポーセレン冠を製作し, 冠辺縁の垂直変位量を測定した.測定は各製作段階およびセメント合着後に行い, 冠辺縁部の測定後, 試料を切断して内面の適合状態を観察した.セレストア・クラウンの垂直変位量は, コア焼成後では11μm, 歯冠色陶材焼成後では19μm, セメント合着後では34μmと金属焼付ポーセレン冠の垂直変位量の約1/4の値を示し, セレストア・クラウンの適合性は良好であった.強度試験はインストロン万能試験機を用いて3点曲げ試験を行った.セレストアの陶材の破折強度は, コアでは1,835kg/cm2, デンティンでは1,386 kg/cm2, エナメルでは1,175kg/cm2であり, ビタ・デュールの陶材と比較して約30%大きな値を示した.また, コア, デンティン, エナメルを3層に焼成した試料のセレストアの陶材の破折強度は, 歯冠色陶材引張側では1,732kg/cm2とビタ・デュールの陶材と比較して約50%大きな値を示し, 歯冠色陶材圧縮側では1,189kg/cm2とビタ・デュールの陶材と同程度の値を示した.以上の結果から, セレストア・クラウンは, 良好な適合性および十分な強度を有しており, 臨床応用が可能であることが判明した.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.8.210