腸管結節形成症により絞扼性腸閉塞をきたした1例

症例は27歳の男性。腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した。開腹手術を含め特記すべき既往歴。来院時,右下腹部に限局性の反跳痛を認め,腹部造影CT検査で造影効果不良の小腸が2ヵ所でclosed loopを形成しており,絞扼性腸閉塞の診断で緊急開腹術を施行した。術中所見では,終末回腸の回腸係蹄同士が互いに巻きついて結節を形成しており,小腸―小腸間の腸管結節形成症と診断した。用手的結節解除は不可能と判断し,結節の口側の腸管を切離したうえで結節を解除し,壊疽回腸120cmを含む回盲部切除術を施行した。術後経過は良好で,術後14日目に退院した。小腸―小腸間の腸管結節形成症は,索状物による絞扼性腸閉塞とは異なる...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 5; pp. 819 - 822
Main Authors 三浦, 弘志, 松岡, 信成, 菊永, 裕行, 藤田, 晃司, 熊井, 浩一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.819

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Summary:症例は27歳の男性。腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した。開腹手術を含め特記すべき既往歴。来院時,右下腹部に限局性の反跳痛を認め,腹部造影CT検査で造影効果不良の小腸が2ヵ所でclosed loopを形成しており,絞扼性腸閉塞の診断で緊急開腹術を施行した。術中所見では,終末回腸の回腸係蹄同士が互いに巻きついて結節を形成しており,小腸―小腸間の腸管結節形成症と診断した。用手的結節解除は不可能と判断し,結節の口側の腸管を切離したうえで結節を解除し,壊疽回腸120cmを含む回盲部切除術を施行した。術後経過は良好で,術後14日目に退院した。小腸―小腸間の腸管結節形成症は,索状物による絞扼性腸閉塞とは異なる機序により腸閉塞を発症する非常にまれな疾患である。急速に増悪する腸管血流不全のため,腸管切除を要することが多い。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.819