腹腔鏡下に修復した子宮広間膜裂孔ヘルニアによるイレウスの1例

腹腔鏡下に修復した子宮広間膜裂孔ヘルニアによるイレウスの1例を経験したので報告する。症例は58歳,女性。数日前から持続する下腹部痛を主訴に来院。内科でイレウスの診断となり,イレウス管挿入で経過をみていたが改善せず外科コンサルトとなった。腹部骨盤CT所見により左側子宮広間膜欠損による子宮広間膜ヘルニアと診断し,イレウス管を挿入したまま待機的に腹腔鏡下修復術を行った。腸管減圧は良好であり,嵌頓した腸管を解除した後,子宮広間膜異常裂孔を腹腔鏡下に連続縫合にて閉鎖し修復した。腸管の循環障害は認めず,腸管切除は不要であった。術後経過良好で早期退院となった。子宮広間膜裂孔ヘルニアはまれな疾患ではあるが,特...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 911 - 914
Main Authors 村木, 輝, 有田, 淳, 小松, 茂治, 高橋, 和裕, 大山, 莉奈, 三島, 圭介, 黒田, 誠司, 鈴木, 英之, 内田, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
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Summary:腹腔鏡下に修復した子宮広間膜裂孔ヘルニアによるイレウスの1例を経験したので報告する。症例は58歳,女性。数日前から持続する下腹部痛を主訴に来院。内科でイレウスの診断となり,イレウス管挿入で経過をみていたが改善せず外科コンサルトとなった。腹部骨盤CT所見により左側子宮広間膜欠損による子宮広間膜ヘルニアと診断し,イレウス管を挿入したまま待機的に腹腔鏡下修復術を行った。腸管減圧は良好であり,嵌頓した腸管を解除した後,子宮広間膜異常裂孔を腹腔鏡下に連続縫合にて閉鎖し修復した。腸管の循環障害は認めず,腸管切除は不要であった。術後経過良好で早期退院となった。子宮広間膜裂孔ヘルニアはまれな疾患ではあるが,特徴的なCT所見を理解していれば術前診断は可能である。イレウス管による腸管減圧が良好であれば,待機的腹腔鏡下手術で十分治療可能であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.911