微小変化型ネフローゼ症候群の治療中に発症した多発性虚血性小腸狭窄の1例

虚血性小腸炎は比較的まれな疾患である。今回,微小変化型ネフローゼ症候群の治療中に発症した多発性虚血性小腸狭窄の1例を経験したので報告する。症例は67歳,男性。7ヵ月前に腹痛を認め,小腸炎の診断で経過観察をされていたが,繰り返す腹痛のため精査加療目的に当院受診した。症状は右下腹部痛のみで,腹部X線検査,CT検査で小腸閉塞症を認めた。イレウス管造影では小腸に3ヵ所の狭窄所見を認めた。小腸内視鏡では3ヵ所の潰瘍を伴う狭窄を認め,口側2ヵ所には拡張術を施行したが,肛門側1ヵ所は拡張困難であった。内科的治療抵抗性のため外科依頼となり腹腔鏡下手術を施行した。終末回腸から口側約150cmの距離に狭窄部位を認...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 5; pp. 747 - 750
Main Authors 小嶌, 慶太, 中村, 隆俊, 佐藤, 武郎, 三富, 弘之, 大部, 誠, 渡邊, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.747

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Summary:虚血性小腸炎は比較的まれな疾患である。今回,微小変化型ネフローゼ症候群の治療中に発症した多発性虚血性小腸狭窄の1例を経験したので報告する。症例は67歳,男性。7ヵ月前に腹痛を認め,小腸炎の診断で経過観察をされていたが,繰り返す腹痛のため精査加療目的に当院受診した。症状は右下腹部痛のみで,腹部X線検査,CT検査で小腸閉塞症を認めた。イレウス管造影では小腸に3ヵ所の狭窄所見を認めた。小腸内視鏡では3ヵ所の潰瘍を伴う狭窄を認め,口側2ヵ所には拡張術を施行したが,肛門側1ヵ所は拡張困難であった。内科的治療抵抗性のため外科依頼となり腹腔鏡下手術を施行した。終末回腸から口側約150cmの距離に狭窄部位を認め,小腸部分切除を施行した。摘出検体は3ヵ所の全周性潰瘍および帯状の瘢痕狭窄を認め,病理組織学的検査では粘膜下層への炎症細胞浸潤と,粘膜固有層以深の線維化を認め虚血性小腸狭窄と診断した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.747