大網小網裂孔網囊ヘルニアの1例

症例は開腹歴のない36歳の男性。受診の約24時間前から持続する上腹部痛・嘔吐のため,当院に搬送された。初診時,腹部は軽度膨満していたが,圧痛は軽度で筋性防御はなかった。腹部CT検査では,小腸拡張像と少量の腹水を認め,胃と十二指腸水平脚の間に小腸の狭窄部を認めた。内ヘルニア嵌頓が疑われ,同日緊急開腹術を施行した。開腹したところ,Treitz靭帯より肛門側210cm~220cmの回腸が,大網の異常裂孔を通り網囊内に嵌入し,小網の幽門側にある異常裂孔より腹腔へ脱出していた。徒手整復をした後に,小網・大網の裂孔を縫縮した。術後経過は良好であり,術後5日目に退院となった。今回,極めてまれな大網小網裂孔網...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 3; pp. 345 - 349
Main Authors 中井, 款, 二階, 春香, 森田, 隆幸, 高橋, 礼, 石澤, 義也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.345

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Summary:症例は開腹歴のない36歳の男性。受診の約24時間前から持続する上腹部痛・嘔吐のため,当院に搬送された。初診時,腹部は軽度膨満していたが,圧痛は軽度で筋性防御はなかった。腹部CT検査では,小腸拡張像と少量の腹水を認め,胃と十二指腸水平脚の間に小腸の狭窄部を認めた。内ヘルニア嵌頓が疑われ,同日緊急開腹術を施行した。開腹したところ,Treitz靭帯より肛門側210cm~220cmの回腸が,大網の異常裂孔を通り網囊内に嵌入し,小網の幽門側にある異常裂孔より腹腔へ脱出していた。徒手整復をした後に,小網・大網の裂孔を縫縮した。術後経過は良好であり,術後5日目に退院となった。今回,極めてまれな大網小網裂孔網囊ヘルニアの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.345