高分子ミセル化インドシアニングリーンを用いた光線力学療法における光温熱効果に関する検討
【緒言】我々は高分子ミセル化ICG(ICGm)を開発し、腫瘍選択的な集積性と光線力学療法による高い抗腫瘍効果を報告してきた。ICGを用いた場合の抗腫瘍効果は近赤外光吸収による温熱効果によると考えられるため、今回、ICGmを用いて精密な検討を加えた。【対象と方法】BALB/cマウスの皮内腫瘍(Colon26)モデルにICGmを経静脈的に投与し、48時間後に近赤外光(808nm)を照射した。種々の照射強度、時間を設定し、腫瘍表面温度、照射後21日目の腫瘍体積を測定した。【結果】近赤外光照射により腫瘍表面温度は急激に上昇し、120秒以内に最高温度に達し以後漸減した。照射強度 (250-1000mW/...
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Published in | 生体医工学 Vol. 55Annual; no. 4AM-Abstract; p. 266 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本生体医工学会
2017
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Summary: | 【緒言】我々は高分子ミセル化ICG(ICGm)を開発し、腫瘍選択的な集積性と光線力学療法による高い抗腫瘍効果を報告してきた。ICGを用いた場合の抗腫瘍効果は近赤外光吸収による温熱効果によると考えられるため、今回、ICGmを用いて精密な検討を加えた。【対象と方法】BALB/cマウスの皮内腫瘍(Colon26)モデルにICGmを経静脈的に投与し、48時間後に近赤外光(808nm)を照射した。種々の照射強度、時間を設定し、腫瘍表面温度、照射後21日目の腫瘍体積を測定した。【結果】近赤外光照射により腫瘍表面温度は急激に上昇し、120秒以内に最高温度に達し以後漸減した。照射強度 (250-1000mW/cm2)と腫瘍表面温度は正の相関を示した。照射強度を一定として照射時間を変化(111-1000秒)させた場合には、抗腫瘍効果と照射時間との間には関連は認められなかった。次に腫瘍表面温度との関連を検討したところ、腫瘍表面温度が43℃未満であった場合には腫瘍が残存したが、43℃を越えた場合には、照射時間や照射強度によらず、21日目には完全に腫瘍は消失した。【結論】ICGmを用いた光温熱治療では、光照射中に腫瘍表面温度を43℃に到達させることにより、健常部位に与える影響を最小限にとどめ、最大の抗腫瘍効果を得ることができると考えられた。 |
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ISSN: | 1347-443X 1881-4379 |
DOI: | 10.11239/jsmbe.55Annual.266 |