熱硬化性樹脂の粘弾性と硬化度時間発展の増分型変分法による定式化

本研究では,熱硬化性樹脂の硬化過程における材料挙動の熱力学的に整合したモデル化を通して,粘弾性および硬化度の時間発展に対する双対散逸ポテンシャルを導出する.そして,双対散逸ポテンシャルと定式化の中で定義した自由エネルギーを増分型変分法に適用して,釣り合い問題を効率的に解くための数値計算アルゴリズムを構築する.双対散逸ポテンシャルは,定義する散逸ポテンシャルを,示強変数に関して Legendre-Fenchel変換(LF変換)することで得られる双対関数であり,LF変換で現れる最大化問題の最適性条件は示量変数の流れ則に一致する.特に,本研究では硬化度の時間発展に関してPerzynaの過応力理論との...

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Published in日本計算工学会論文集 Vol. 2020; p. 20200011
Main Authors 松原, 成志朗, 齋藤, 理沙, 森口, 周二, 山中, 耀介, 寺田, 賢二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本計算工学会 23.06.2020
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ISSN1347-8826
DOI10.11421/jsces.2020.20200011

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Summary:本研究では,熱硬化性樹脂の硬化過程における材料挙動の熱力学的に整合したモデル化を通して,粘弾性および硬化度の時間発展に対する双対散逸ポテンシャルを導出する.そして,双対散逸ポテンシャルと定式化の中で定義した自由エネルギーを増分型変分法に適用して,釣り合い問題を効率的に解くための数値計算アルゴリズムを構築する.双対散逸ポテンシャルは,定義する散逸ポテンシャルを,示強変数に関して Legendre-Fenchel変換(LF変換)することで得られる双対関数であり,LF変換で現れる最大化問題の最適性条件は示量変数の流れ則に一致する.特に,本研究では硬化度の時間発展に関してPerzynaの過応力理論とのアナロジーから硬化乗数を新たな内部変数として導入し,硬化度の時間変化を流れ則として規定することで,硬化反応の時間発展を数理塑性論と同様の理論的枠組みで論じる.この結果,増分型変分法を用いて規定された熱硬化性樹脂の釣り合い問題は,その変文構造が完全に保証され,硬化度を含めた全ての状態変数を陰的に更新するアルゴリズムの構築が可能となる.本手法の妥当性は,簡単な境界値問題を対象として,従来型の定式化に基づく解法と同一の結果が得られることを確認することで示す.
ISSN:1347-8826
DOI:10.11421/jsces.2020.20200011