イオン交換高速液体クロマトグラフィ法においてHbA1c値が偽低値を示した異常ヘモグロビン,HbE-Saskatoonの1例

患者は糖尿病の家族歴を有する40歳代女性で,前医で糖尿病と診断され,治療のため当院を受診した。紹介状に添付されたラテックス凝集法(LA法)によるヘモグロビンA1c(HbA1c)値は10.0%と高値であったが,当検査科のHLC-723 G8(東ソー)(以下,G8)では5.5%と大きく乖離した。G8の測定原理はイオン交換HPLC法である。そこで東ソーにイオン交換HPLCの精密分析とアフィニティHPLC法によるHbA1c値の測定を依頼した。イオン交換HPLCの精密分析では異常ヘモグロビンを示唆する異常ピークを認め,アフィニティHPLC法でのHbA1c値は8.8%であった。福山臨床検査センターでのβ-...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 67; no. 4; pp. 575 - 579
Main Authors 永汐, 華, 増永, 晴子, 野原, 正信, 井上, 健司, 中島, 瑞枝, 馬場, 威, 谷垣, 直子, 鳩山, 宜伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2018
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.17-156

Cover

More Information
Summary:患者は糖尿病の家族歴を有する40歳代女性で,前医で糖尿病と診断され,治療のため当院を受診した。紹介状に添付されたラテックス凝集法(LA法)によるヘモグロビンA1c(HbA1c)値は10.0%と高値であったが,当検査科のHLC-723 G8(東ソー)(以下,G8)では5.5%と大きく乖離した。G8の測定原理はイオン交換HPLC法である。そこで東ソーにイオン交換HPLCの精密分析とアフィニティHPLC法によるHbA1c値の測定を依頼した。イオン交換HPLCの精密分析では異常ヘモグロビンを示唆する異常ピークを認め,アフィニティHPLC法でのHbA1c値は8.8%であった。福山臨床検査センターでのβ-グロビン遺伝子シーケンシングでは〔Codon 22 GAA (Glu)→AAA (Lys)〕(heterozygote)HbE-Saskatoonが検出された。今回の経験から,臨床と情報を共有し,測定法の特性を正しく理解して業務にあたる必要があると考える。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.17-156