進行肝細胞癌に対するソラフェニブと肝動注化学療法の有効性および治療法選択

Child-Pugh分類Aかつ遠隔転移のない進行肝細胞癌に対して,治療法選択および後治療の有無が予後に影響するか検討した.一次治療としてHAICを施行した83例(HAIC開始群),Sorafenibを施行した53例(Sorafenib開始群),無治療で経過を観察した12例,合計148例を対象とした.HAIC開始群とSorafenib開始群の比較では,奏効率に有意差を認めたが(26.5% vs. 7.5%,P=0.007),腫瘍制御率と生存率には有意差を認めなかった.また,両群とも無治療群と比較して有意に生存期間の延長を認めた.さらに,後治療の有無により両治療群を副グループ化し追加検討した.結果...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 4; pp. 233 - 248
Main Authors 平峯, 靖也, 馬場, 芳郎, 樋脇, 卓也, 山下, 容雅, 庄, 幸彦, 今村, 也寸志, 鐘撞, 一郎, 坪内, 博仁, 玉井, 努, 田原, 憲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.233

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Summary:Child-Pugh分類Aかつ遠隔転移のない進行肝細胞癌に対して,治療法選択および後治療の有無が予後に影響するか検討した.一次治療としてHAICを施行した83例(HAIC開始群),Sorafenibを施行した53例(Sorafenib開始群),無治療で経過を観察した12例,合計148例を対象とした.HAIC開始群とSorafenib開始群の比較では,奏効率に有意差を認めたが(26.5% vs. 7.5%,P=0.007),腫瘍制御率と生存率には有意差を認めなかった.また,両群とも無治療群と比較して有意に生存期間の延長を認めた.さらに,後治療の有無により両治療群を副グループ化し追加検討した.結果,Sorafenibで治療を開始し後治療が施行された症例は最も生存率が高く,多変量解析でも独立した予後因子であった([HR];0.144,P<0.001).また,Sorafenibから後治療(HAIC)へ移行するためには,Sorafenibの初期体重換算投与量:[13>―≥7(mg/kg/day)]が寄与因子であった.進行肝細胞癌は,体重を指標にSorafenibを先行投与しHAICへ移行することで予後の改善が得られる可能性がある.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.233