内部障害を有する者における座位行動研究
身体活動指針などで推奨されている中高強度の身体活動が不 足した状態は“身体不活動”と定義され、様々な内部障害の重症化に独立して関与することが広く知られている。加えて、最近の研究では、身体不活動とは異なる概念であり“座位、半臥位および臥位におけるエネルギー消費量が1.5メッツ以下の全ての覚醒行動”として定義される「座位行動」の多寡もまた内部障害の重症化と関連することが明らかにされている。これらのことから、内部障害を有する者において、身体不活動の是正 (中高強度身体活動の実践)と長時間における座位行動の削減は、いずれも病態の重症化を予防する上で重要な役割を果たすと考えられる。内部障害に対するリハビ...
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Published in | Japanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 2.Suppl.No.1; p. 86 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
31.03.2024
Japanese Society of physical therapy for prevention |
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ISSN | 2758-7983 |
DOI | 10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_86 |
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Summary: | 身体活動指針などで推奨されている中高強度の身体活動が不 足した状態は“身体不活動”と定義され、様々な内部障害の重症化に独立して関与することが広く知られている。加えて、最近の研究では、身体不活動とは異なる概念であり“座位、半臥位および臥位におけるエネルギー消費量が1.5メッツ以下の全ての覚醒行動”として定義される「座位行動」の多寡もまた内部障害の重症化と関連することが明らかにされている。これらのことから、内部障害を有する者において、身体不活動の是正 (中高強度身体活動の実践)と長時間における座位行動の削減は、いずれも病態の重症化を予防する上で重要な役割を果たすと考えられる。内部障害に対するリハビリテーションの各種ガイドラインにおいて、身体活動については、そのエビデンスと共に一部言及されている一方で、座位行動については、エビデンスが十分に蓄積されていない。 我々の研究グループでは、内部障害を有する者の中でも、特にエビデンスが不足している慢性腎臓病患者や成人先天性心疾患患者の日常生活中における座位行動の時間やパターンを加速度計で客観的に評価し、コロナ禍における座位行動時間の経年変化や、種々の健康アウトカムとの関連性について解析を進めている。さらに、内部障害を有する者の座位行動パターン (一定時間連続した座位行動 (バウト)の回数など)についても詳細な解析を進めている。加えて、各行動時間の相互依存性を考慮した解析手法である「Isotemporal substitution modelling」を用いて、座位行動を身体活動に置き換えることによる健康効果についても解析を進めており、慢性腎臓病患者における座位行動と身体活動の置き換えが高い身体機能や骨密度に寄与する可能性などを明らかにしている。 本発表では、これらの研究成果を中心に、内部障害を有する者 (特に慢性腎臓病患者や成人先天性心疾患患者)における座位行動のエビデンスを紹介する予定である。 【倫理的配慮】すべての研究対象者に研究内容に関する説明を 実施し、研究への参加に同意を得た後に実験を実施した。なお、本研究は筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て行われた。 |
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Bibliography: | YOS-20-2 |
ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_86 |