反復する肝機能障害を呈して診断に至った肝サルコイドーシスの一小児例

症例は8歳男児.黄疸,肝胆道系酵素上昇,および血液凝固能低下のため入院となった.肝生検にて非特異的肝炎と診断し,プレドニゾロン(PSL)投与により肝機能障害は軽快したが,PSL漸減中に腹痛,肝機能障害が再燃した.シクロスポリン併用により改善傾向が得られたが,再び肝胆道系酵素が上昇した.病理所見では門脈域の炎症と線維化が増悪し,グリソン鞘内に非乾酪性類上皮肉芽腫が認められ,血清アンギオテンシン変換酵素,可溶性インターロイキン2受容体値の上昇が認められたことから肝サルコイドーシスと診断した.ステロイドパルス療法が著効し,アザチオプリン併用による維持療法により3カ月後の追跡肝生検では,肉芽腫を伴う結...

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Published in肝臓 Vol. 62; no. 8; pp. 479 - 486
Main Authors 西野, 裕貴, 井上, 智弘, 近藤, 宏樹, 山下, 雄平, 一木, 美穂, 虫明, 聡太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.08.2021
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.62.479

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Summary:症例は8歳男児.黄疸,肝胆道系酵素上昇,および血液凝固能低下のため入院となった.肝生検にて非特異的肝炎と診断し,プレドニゾロン(PSL)投与により肝機能障害は軽快したが,PSL漸減中に腹痛,肝機能障害が再燃した.シクロスポリン併用により改善傾向が得られたが,再び肝胆道系酵素が上昇した.病理所見では門脈域の炎症と線維化が増悪し,グリソン鞘内に非乾酪性類上皮肉芽腫が認められ,血清アンギオテンシン変換酵素,可溶性インターロイキン2受容体値の上昇が認められたことから肝サルコイドーシスと診断した.ステロイドパルス療法が著効し,アザチオプリン併用による維持療法により3カ月後の追跡肝生検では,肉芽腫を伴う結節の消失を含め著明な肝組織像の改善が認められた.小児における肝サルコイドーシスの報告は稀であるが,成因不明のものが多いとされる重症急性肝炎の診療において鑑別すべき疾患の一つであることが示された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.62.479