運動誘発性喉頭閉塞症
運動誘発喉頭閉塞症 (Exercise-induced laryngeal obstruction: EILO) は北欧の若者の5~7%, 競技アスリートの約15~35%に認められる疾患である. 運動がピークに達した時, 上気道吸気性喘鳴 stridor を伴う吸気性呼吸困難で急激に発症し, 運動中止とともに数分で消退する. 吸気時に本来開大すべき声帯が内転する誘発性喉頭閉塞症の1タイプである. 思春期前後以降の女性アスリートに多く, 近年では喉頭軟弱症との関連が示唆されている. 安静時の喉頭所見では楔状結節上の余剰粘膜と高い披裂喉頭蓋ひだを認め, 運動時にはこれらが内転することから喉頭閉塞が...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 123; no. 6; pp. 460 - 468 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.06.2020
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.123.460 |
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Summary: | 運動誘発喉頭閉塞症 (Exercise-induced laryngeal obstruction: EILO) は北欧の若者の5~7%, 競技アスリートの約15~35%に認められる疾患である. 運動がピークに達した時, 上気道吸気性喘鳴 stridor を伴う吸気性呼吸困難で急激に発症し, 運動中止とともに数分で消退する. 吸気時に本来開大すべき声帯が内転する誘発性喉頭閉塞症の1タイプである. 思春期前後以降の女性アスリートに多く, 近年では喉頭軟弱症との関連が示唆されている. 安静時の喉頭所見では楔状結節上の余剰粘膜と高い披裂喉頭蓋ひだを認め, 運動時にはこれらが内転することから喉頭閉塞が始まることが多い. ヨーロッパでは, 運動中の喉頭を観察する持続的喉頭内視鏡検査を診断に用いる. 軽症例に対しては呼吸筋トレーニングや視覚的フィードバック療法などの保存的加療を施行する. 重症例には声門上部構造に対するラリンゴマイクロサージャリーを行う. 主にヨーロッパを中心に行われている. 鑑別診断には, 運動誘発性喘息, 過換気症候群などがあるが合併することも多い. 運動誘発性喘息との鑑別は難しく, EILO 患者の多くは運動誘発性喘息として治療された病歴をもつ. 喉頭反射に伴う喉頭痙攣とは病態が異なる. 聞きなれない疾患の最近の動向を紹介する. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.123.460 |