病態】急性心筋炎:病態の主座はどこにあるのか?

「はじめに」 心筋炎は心筋を主座とする炎症性疾患と定義され, 臨床像が多彩であるため診断は必ずしも容易でない. 最近は病因による分類がよく用いられ, 感染, 自己免疫やアレルギー, 中毒などがある. 感染による心筋炎において, 以前はリウマチ熱やジフテリアの頻度が高かったが, 最近はウイルスによる頻度が最も高く, 原因が不明の場合(特発性)も多い. 代表的な起因ウイルスにピコナウイルス科のエンテロウイルス属に属するコクサッキーB群ウイルスがあり, 心臓親和性が高く心筋炎のみならず心膜炎の原因として重要である. これまで, 急性心筋炎における心筋細胞傷害機序についてウイルス感染動物や自己免疫性心...

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Published inShinzo Vol. 41; no. 11; pp. 1183 - 1187
Main Authors 大塚, 薫, 寺崎, 文生, 北浦, 泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
日本心臓財団
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.1183

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Summary:「はじめに」 心筋炎は心筋を主座とする炎症性疾患と定義され, 臨床像が多彩であるため診断は必ずしも容易でない. 最近は病因による分類がよく用いられ, 感染, 自己免疫やアレルギー, 中毒などがある. 感染による心筋炎において, 以前はリウマチ熱やジフテリアの頻度が高かったが, 最近はウイルスによる頻度が最も高く, 原因が不明の場合(特発性)も多い. 代表的な起因ウイルスにピコナウイルス科のエンテロウイルス属に属するコクサッキーB群ウイルスがあり, 心臓親和性が高く心筋炎のみならず心膜炎の原因として重要である. これまで, 急性心筋炎における心筋細胞傷害機序についてウイルス感染動物や自己免疫性心筋炎動物などのモデルを用いて解明が行われてきた. 本稿では, ウイルス性心筋炎における心筋細胞傷害機序を経時的に明らかにし, その病態の主座について述べる. 「心筋炎の病態生理」 ウイルス性心筋炎の病態は経時的に図のごとく, (1)ウイルスの心筋細胞への感染, (2)自然免疫(innate immunity)による防御, (3)獲得免疫(adaptive immunity)による防御, (4)炎症の消退の4期に分けることができる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.1183