介護予防のための地域ケア個別会議有用化に関する横断的研究

【はじめに】介護予防のための地域ケア個別会議(以下個別会議)は,目標設定の迷いや運営のスキル不足など(原田ら,2018),運営に難渋している自治体が多い.愛知県美浜町(以下当町)も個別会議の有用化に向けて工夫を重ねているが課題は残存している.そこで個別会議の有用性と課題を抽出することを目的として質問紙調査を行ったので報告する.【方法】対象は個別会議参加者とした.調査方法は質問紙配布またはオンライン調査とした.調査内容として属性は,職種,経験年数,出席回数を,内容は意義,目的の理解,検討時間,会場配置,配布資料を,また事例提供者には事前打ち合わせ,配布資料,学び,意見の活用,事例提供の是非を選択...

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Published inJapanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 1.Suppl.No.2; p. 70
Main Authors 高橋, 順代, 高橋, ふじ美, 壹岐, 英正, 石川, 真由美, 山下, 陸視, 服部, 沙織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 01.12.2022
Japanese Society of physical therapy for prevention
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ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_70

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Summary:【はじめに】介護予防のための地域ケア個別会議(以下個別会議)は,目標設定の迷いや運営のスキル不足など(原田ら,2018),運営に難渋している自治体が多い.愛知県美浜町(以下当町)も個別会議の有用化に向けて工夫を重ねているが課題は残存している.そこで個別会議の有用性と課題を抽出することを目的として質問紙調査を行ったので報告する.【方法】対象は個別会議参加者とした.調査方法は質問紙配布またはオンライン調査とした.調査内容として属性は,職種,経験年数,出席回数を,内容は意義,目的の理解,検討時間,会場配置,配布資料を,また事例提供者には事前打ち合わせ,配布資料,学び,意見の活用,事例提供の是非を選択肢および自由記載で調査した.なお以前の調査との比較のため,意義,検討時間,事例検討の是非を比較検討した.また意義は職種,経験年数,出席回数をクロス集計し有意差検定を行った.統計学的事項は記述統計のほか,意義のクロス集計はKruskal-Wallisの検定にて有意差の検定を行った.有意水準は5%未満とした.【結果】職種は介護支援専門員(以下CM)15名,その他の職種24名の計39名であった.経験年数は0~3年が5名,4~9年が15名,10年以上が19名であった.回数は0~1回が12名,2~4回が13名,5回以上が14名であった.意義は「感じる」61.5%,「普通」25.6%,「感じない」12.8%であった.目的は「理解できる」59.0%,「普通」38.5%,「理解できない」2.6%であった.時間は「短い」2.6%,「ちょうど」94.9%,「長い」2.6%であった.配置は「話やすい」56.4%,「普通」33.3%,「話しにくい」10.3%であった.資料は「分かりやすい」53.8%,「普通」41.0%,「分かりにくい」5.1%であった.事前打ち合わせは「やってほしい」46.2%,「どちらでもない」38.5%,「やらなくてよい」15.4%であった.資料の記入は「しやすい」38.5%,「普通」46.2%,「しにくい」15.4%であった.学びは「なった」46.2%,「どちらでもない」46.2%,「ない」7.7%であった.意見活用は「ある」58.3%,「ない」41.7%であった.事例提供は「やっても良い」13.5%,「どちらでもよい」43.2%,「やりたくない」29.7%,「無回答」13.5%であった.過去との比較は,意義が「感じる」が減少傾向,検討時間は「ちょうど良い」が増加傾向,事例検討の是非は「やりたくない」が減少傾向であった.意義のクロス集計として,出席回数および経験年数は有意差を認めなかった.職種別は療法士が最も「感じる」と答え有意差を認めた.【考察】検討時間やCMの事例検討の是非が改善傾向であり,時間短縮や事前打ち合わせなどの取り組みが有効であったと考える.一方で意義は前回より減少傾向であり,自由記載から検討した地域課題が解決しないことが要因として考えられた.また一部の参加者での議論も課題として挙げられた.これらの対策として推進会議での検討や,グループワークで多数の意見を聴取する取り組みを検討している.【倫理的配慮,説明と同意】対象者に対し調査の趣旨を説明し同意を得て実施した.調査データは個人が特定できないよう配慮し,研究者相互間でのデータの閲覧,保管については安全管理の徹底を図り,取得した情報は研究代表者の責任の下に管理し,厳格なアクセス制限の管理と制御を行った.
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_70