胸腹部大動脈手術時の運動誘発電位低下に対し集学的治療を行った一症例
症例は37歳男性。慢性大動脈解離に対して胸腹部大動脈人工血管置換術が予定された。術中出血及び肋間動脈からの盗血現象による脊髄灌流減少が起こり,運動誘発電位(Motor Evoked Potential;以下MEPと略す)の低下が認められた。速やかに急速輸血を開始し,カテコラミンの持続投与と肋間動脈再建を行ったところ10分後にはMEPの回復が認められた。術後に対麻痺など神経学的異常はみられなかった。脊髄灌流を維持すべく多方面からの循環管理と,術者,麻酔科医,臨床工学技士などが密接に連携して迅速に対応することが重要であると考えられた。...
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Published in | Cardiovascular Anesthesia Vol. 21; no. 1; pp. 17 - 21 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
2017
日本心臓血管麻酔学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-9132 1884-7439 |
DOI | 10.11478/jscva.2015-2-010 |
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Summary: | 症例は37歳男性。慢性大動脈解離に対して胸腹部大動脈人工血管置換術が予定された。術中出血及び肋間動脈からの盗血現象による脊髄灌流減少が起こり,運動誘発電位(Motor Evoked Potential;以下MEPと略す)の低下が認められた。速やかに急速輸血を開始し,カテコラミンの持続投与と肋間動脈再建を行ったところ10分後にはMEPの回復が認められた。術後に対麻痺など神経学的異常はみられなかった。脊髄灌流を維持すべく多方面からの循環管理と,術者,麻酔科医,臨床工学技士などが密接に連携して迅速に対応することが重要であると考えられた。 |
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ISSN: | 1342-9132 1884-7439 |
DOI: | 10.11478/jscva.2015-2-010 |