膵十二指腸動脈瘤破裂に対するTAE後に十二指腸狭窄と胆管炎を併発した1例
症例は66歳男性で突然の腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した。腹部造影CTで膵十二指腸動脈の不整と腹腔内に広範な血腫を認め,動脈瘤破裂に伴う出血と診断した。緊急血管造影を行い,後上膵十二指腸動脈瘤に経カテーテル動脈塞栓術(以下,TAE)を施行した。TAE後9日目に腹部膨満と嘔吐が出現し,上部消化管精査で十二指腸壁の浮腫に伴う狭窄と通過障害を認めた。経管栄養チューブを挿入し保存的治療を継続した。TAE後27日目に発熱と黄疸を認め,血液検査および腹部造影CTで急性胆管炎と診断し経皮経肝胆囊ドレナージを施行した。胆管炎はすみやかに改善した。十二指腸狭窄は緩徐に改善しTAE後52日目に退院した。血管造影所...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 7; pp. 1087 - 1091 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.37.1087 |
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Summary: | 症例は66歳男性で突然の腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した。腹部造影CTで膵十二指腸動脈の不整と腹腔内に広範な血腫を認め,動脈瘤破裂に伴う出血と診断した。緊急血管造影を行い,後上膵十二指腸動脈瘤に経カテーテル動脈塞栓術(以下,TAE)を施行した。TAE後9日目に腹部膨満と嘔吐が出現し,上部消化管精査で十二指腸壁の浮腫に伴う狭窄と通過障害を認めた。経管栄養チューブを挿入し保存的治療を継続した。TAE後27日目に発熱と黄疸を認め,血液検査および腹部造影CTで急性胆管炎と診断し経皮経肝胆囊ドレナージを施行した。胆管炎はすみやかに改善した。十二指腸狭窄は緩徐に改善しTAE後52日目に退院した。血管造影所見から動脈瘤の原因はsegmental arterial mediolysisと考えた。またTAEによる虚血,浮腫によって十二指腸狭窄を生じ,その浮腫がVater乳頭まで波及し胆管炎を発症したと考える。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.37.1087 |