平山論文に対するEditorial Comment

一般市民による電気的除細動はpublic access defibrillation(PAD)と呼ばれ, 米国では, 1994年にPAD協議会が発足し, 普及運動が全国に広がった. わが国では除細動器の使用は医師・看護師・救急救命士にしか許されていなかったが, 2004年7月の「非医療従事者による自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)の使用について」という厚生労働省通達のなかでAEDの使用が一般市民にも認められ, その後, 公共施設におけるAED設置が促進された. 2005年5月の東京電力福島第2原発の事務所で意識消失した男性を館内のAE...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 41; no. 10; pp. 1155 - 1156
Main Author 田中, 啓治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
日本心臓財団
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:一般市民による電気的除細動はpublic access defibrillation(PAD)と呼ばれ, 米国では, 1994年にPAD協議会が発足し, 普及運動が全国に広がった. わが国では除細動器の使用は医師・看護師・救急救命士にしか許されていなかったが, 2004年7月の「非医療従事者による自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)の使用について」という厚生労働省通達のなかでAEDの使用が一般市民にも認められ, その後, 公共施設におけるAED設置が促進された. 2005年5月の東京電力福島第2原発の事務所で意識消失した男性を館内のAEDで救命したのがわが国での初めてのPADであるとされる. その翌月, 愛知万博において配備されたAEDを用いたPADが4名に施行され, 3名の命を救ったことはあまりにも有名である. 2007年12月現在, わが国の公共施設などの一般市民が使用できるAED数は, 88,265台で全設置数の68%を占める. 総務省消防庁のホームページをみると, 救急隊の搬送した心肺停止例の数は1994年の31,206例から2007年には109,461例と3倍強に増加しているが, その中で救急隊到着前に家族らによってなんらかの応急処置が施されていたものは13.4%から39.2%にも上った.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.1155