めまいとストレス
「1. 前庭機能とストレス」めまい診療では症状の悪化や発症にストレスが関与していることはよく経験される. また, 繰り返すめまい発作自体がストレスとなっているとの患者からの訴えもしばしばある. 前庭系は精神症状や認知機能と強く関連があることが報告されている. 精神状態と密接な関係がある縫線核と青斑核は, 前庭神経核とも相互連絡がある. 縫線核は前庭神経より投射を受け, 前庭神経核にセロトニン性, 非セロトニン性に出力する. また扁桃核とも連絡して情緒的なコントロールにおいても前庭の経路と関与している. 青斑核はノルアドレナリン性に前庭神経核に投射しているとともに, 小脳, 新皮質, 視床下部と...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 123; no. 7; pp. 592 - 595 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.07.2020
日本耳鼻咽喉科学会 |
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Summary: | 「1. 前庭機能とストレス」めまい診療では症状の悪化や発症にストレスが関与していることはよく経験される. また, 繰り返すめまい発作自体がストレスとなっているとの患者からの訴えもしばしばある. 前庭系は精神症状や認知機能と強く関連があることが報告されている. 精神状態と密接な関係がある縫線核と青斑核は, 前庭神経核とも相互連絡がある. 縫線核は前庭神経より投射を受け, 前庭神経核にセロトニン性, 非セロトニン性に出力する. また扁桃核とも連絡して情緒的なコントロールにおいても前庭の経路と関与している. 青斑核はノルアドレナリン性に前庭神経核に投射しているとともに, 小脳, 新皮質, 視床下部と連絡することにより前庭刺激による覚醒状態と関与している. また, 前庭刺激自体が気分, 認知機能, 精神症状に影響を与えることも報告がある. Winterらは健常成人に対して回転刺激および上下移動, 揺れる動き, うねりの動きを与えた時, Yaw回転(上下を軸とした回転)では快適に感じ, Pitch回転(左右を軸とした回転), Roll回転(前後を軸とした回転), 上下移動では不快に感じるとともに覚醒状態となることを報告している. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.123.592 |