認知プロセスに基づく全身反応時間と道路横断行動の関連性

「I 緒言」我が国において, 高齢者の交通事故抑止は喫緊の課題である. 交通事故死亡者数は年々減少しているものの, 高齢者の占める割合は漸増しているとの報告がある(警察庁交通局, 2020). 高齢者の交通死亡事故の多くは歩行中に発生しており, その中でも特に道路横断中に頻発していると報告されている(交通事故総合分析センター, 2016). 道路横断中の交通事故を回避するためには高い身体機能だけではなく, 意思決定に関与する「認知」・「判断」・「行動」の一連の認知プロセスを適切に連続して行うことが求められる. 加齢に伴う身体機能・認知機能の低下(尹ほか, 2010)を踏まえると, 高齢者は安全...

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Published in体育学研究 Vol. 66; pp. 747 - 754
Main Authors 坂口, 雄介, 亀岡, 雅紀, 若田部, 舜, 齊藤, 真衣, 佐藤, 優希, 泉田, 祥, 吉川, 碧香, 尾山, 裕介, 村山, 敏夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会 2021
日本体育・スポーツ・健康学会
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Summary:「I 緒言」我が国において, 高齢者の交通事故抑止は喫緊の課題である. 交通事故死亡者数は年々減少しているものの, 高齢者の占める割合は漸増しているとの報告がある(警察庁交通局, 2020). 高齢者の交通死亡事故の多くは歩行中に発生しており, その中でも特に道路横断中に頻発していると報告されている(交通事故総合分析センター, 2016). 道路横断中の交通事故を回避するためには高い身体機能だけではなく, 意思決定に関与する「認知」・「判断」・「行動」の一連の認知プロセスを適切に連続して行うことが求められる. 加齢に伴う身体機能・認知機能の低下(尹ほか, 2010)を踏まえると, 高齢者は安全に道路横断を行うことが困難になっていると想定される. 交通事故発生のリスクを評価するために, 歩行環境シミュレータ(以下「歩行シミュレータ」と略す)が用いられている(水戸部・ビンオマル, 2004; 水戸部ほか, 2009; 水戸部ほか, 2011).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.20127