短期間mupirocin全例塗布で抑制された救命救急センター病棟のMRSAアウトブレイク

当院の救命救急センター病棟は,2008年12月から2月にかけてMRSAのアウトブレイクを経験した.そこで,2009年3月より1ヶ月間に救命救急センター病棟に入室する全患者とMRSAを保菌する医療従事者にmupirocin鼻腔用軟膏(MUP)の塗布を行い,救命救急センター病棟アウトブレイクを終息させることに成功した.今回,レトロスペクティブに効果を検証したところ,MUPの短期間塗布は,救命救急センター病棟の在院日数を短縮し(前後1ヶ月比較で13.6日→9.5日),さらに救命救急センター病棟だけでなく一般病棟における新規MRSAの検出件数も著しく低下させた.そして,病院全体の抗MRSA薬の購入額を...

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Bibliographic Details
Published in日本環境感染学会誌 Vol. 25; no. 6; pp. 333 - 338
Main Authors 村井, 宏通, 笹野, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 2010
Subjects
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ISSN1882-532X
1883-2407
DOI10.4058/jsei.25.333

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Summary:当院の救命救急センター病棟は,2008年12月から2月にかけてMRSAのアウトブレイクを経験した.そこで,2009年3月より1ヶ月間に救命救急センター病棟に入室する全患者とMRSAを保菌する医療従事者にmupirocin鼻腔用軟膏(MUP)の塗布を行い,救命救急センター病棟アウトブレイクを終息させることに成功した.今回,レトロスペクティブに効果を検証したところ,MUPの短期間塗布は,救命救急センター病棟の在院日数を短縮し(前後1ヶ月比較で13.6日→9.5日),さらに救命救急センター病棟だけでなく一般病棟における新規MRSAの検出件数も著しく低下させた.そして,病院全体の抗MRSA薬の購入額を塗布前後3ヶ月で約800万円減少させた.以上のことから,救命救急センター病棟で入院患者を含む新規入室者へのMUPの1ヶ月間という短い期間の一斉塗布が,早期かつ安全にMRSAアウトブレイクを終息させる費用対効果に優れた緊急的な措置として非常に有用であると思われる.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.25.333