全身麻酔導入後に発症したKounis症候群の一例
症例は63歳の男性,身長165 cm,体重55 kg。大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症の再燃に対し手術が予定された。麻酔導入後,完全房室ブロックと血圧低下を来たし,一時胸骨圧迫を要した。気道内圧の上昇と全身性の紅斑を認め,アナフィラキシーショックと診断した。経食道心エコーで全周性の壁運動低下,肺動脈圧の上昇を認めたため,冠攣縮を疑い硝酸薬を投与した。その後速やかに肺動脈圧の低下と心収縮能の改善が得られ,血行動態は安定した。アナフィラキシーまたは急性冠症候群の徴候を認めた際には常にKounis症候群の可能性の考慮と,状況に応じた速やかな治療が求められる。...
Saved in:
Published in | Cardiovascular Anesthesia Vol. 24; no. 1; pp. 111 - 117 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
01.08.2020
日本心臓血管麻酔学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-9132 1884-7439 |
DOI | 10.11478/jscva.2019-3-023 |
Cover
Loading…
Summary: | 症例は63歳の男性,身長165 cm,体重55 kg。大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症の再燃に対し手術が予定された。麻酔導入後,完全房室ブロックと血圧低下を来たし,一時胸骨圧迫を要した。気道内圧の上昇と全身性の紅斑を認め,アナフィラキシーショックと診断した。経食道心エコーで全周性の壁運動低下,肺動脈圧の上昇を認めたため,冠攣縮を疑い硝酸薬を投与した。その後速やかに肺動脈圧の低下と心収縮能の改善が得られ,血行動態は安定した。アナフィラキシーまたは急性冠症候群の徴候を認めた際には常にKounis症候群の可能性の考慮と,状況に応じた速やかな治療が求められる。 |
---|---|
ISSN: | 1342-9132 1884-7439 |
DOI: | 10.11478/jscva.2019-3-023 |