S-2. 当院における重症肺血栓塞栓症に対する治療方針
心肺停止やショックで発症するような重症肺血栓塞栓症は依然として高い死亡率が報告されている. 当院では重症肺血栓塞栓症の加療においては, 循環動態の改善・維持(PCPSなどの補助循環, カテコールアミン使用), 肺動脈内の血栓に対するアプローチ(血栓溶解療法, インターベンション), 肺血栓塞栓症の再発・増悪防止(下大静脈フィルター)を迅速に施行するよう心がけている. また心肺停止状態の患者に対しては神経学的予後の改善を目指し血圧や出血などの状況が許せば積極的に低体温療法を施行している. 当院において2006年8月~2013年7月までの7年間に急性肺血栓塞栓症で入院となった101症例のうち, 循...
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Published in | Shinzo Vol. 46; no. 7; p. 1038 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2014
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.46.1038 |
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Summary: | 心肺停止やショックで発症するような重症肺血栓塞栓症は依然として高い死亡率が報告されている. 当院では重症肺血栓塞栓症の加療においては, 循環動態の改善・維持(PCPSなどの補助循環, カテコールアミン使用), 肺動脈内の血栓に対するアプローチ(血栓溶解療法, インターベンション), 肺血栓塞栓症の再発・増悪防止(下大静脈フィルター)を迅速に施行するよう心がけている. また心肺停止状態の患者に対しては神経学的予後の改善を目指し血圧や出血などの状況が許せば積極的に低体温療法を施行している. 当院において2006年8月~2013年7月までの7年間に急性肺血栓塞栓症で入院となった101症例のうち, 循環虚脱を呈した32症例(32%)に関してその病態・治療法・予後に関して検討した. 32症例は平均年齢65歳で女性が69%を占めていた. うち22症例(69%)は心肺停止状態で来院した患者であり, 残り10症例のショック症例は全例生存退院可能であった. 心肺停止症例のうち8症例は社会的背景・病態からご家族が蘇生を希望されず全例死亡した. 残り14症例では11症例でPCPSが, 10症例でt-PAが使用されていた. また全例において肺動脈内血栓吸引や血栓破砕といったインターベンションが施行されていた. 22症例のうち生存退院が可能であったのは6症例であったが, その全例が両側肺動脈中枢に血栓を有していながらインターベンション後に肺動脈のflowが改善した症例であった. 重症肺血栓塞栓症における治療方針においては血栓吸引・破砕術による肺動脈flowの改善も重要と考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.1038 |