日本列島におけるソメイヨシノの開花日と満開日の前年差の空間分布の特徴

ソメイヨシノの開花日(FFD)や満開日(FBD)の短期的な変動の空間分布の特徴の調査は,短期的な気温変化に対するサクラの開花季節の感度を高精度に評価し,人々の短期的なFFDやFBDの予測を改善するために重要である.このためには,地球温暖化やヒートアイランドなどを要因とした長期的なトレンド成分を除去した時系列データに対する解析が必要である.我々は,ソメイヨシノの開花季節観測が長期継続的に行われている日本の48地点を対象に,FFDとFBDの前年差の相互の相関関係の空間的な特徴を調査した.その結果,主に,同一地域内に位置する相互の地点間,九州南部地方を除く東北南部地方以南に位置する相互の地点間,東北...

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Published in日本生気象学会雑誌 Vol. 61; no. 3-4; pp. 79 - 89
Main Authors 斎藤, 琢, 永井, 信, 森本, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生気象学会 28.02.2025
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ISSN0389-1313
1347-7617
DOI10.11227/seikisho.61.79

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Summary:ソメイヨシノの開花日(FFD)や満開日(FBD)の短期的な変動の空間分布の特徴の調査は,短期的な気温変化に対するサクラの開花季節の感度を高精度に評価し,人々の短期的なFFDやFBDの予測を改善するために重要である.このためには,地球温暖化やヒートアイランドなどを要因とした長期的なトレンド成分を除去した時系列データに対する解析が必要である.我々は,ソメイヨシノの開花季節観測が長期継続的に行われている日本の48地点を対象に,FFDとFBDの前年差の相互の相関関係の空間的な特徴を調査した.その結果,主に,同一地域内に位置する相互の地点間,九州南部地方を除く東北南部地方以南に位置する相互の地点間,東北北部と北海道の両地方に位置する相互の地点間において,FFDやFBDの前年差には統計的にみて有意な正の相関関係がみられた.これらの特徴は,地域ごとの気候に応じた開花プロセスの期間の類似性と相違性により生じた可能性が示唆された.
ISSN:0389-1313
1347-7617
DOI:10.11227/seikisho.61.79