小規模病院,診療所における感染対策の現状 —改正医療法後における感染管理体制の実施調査より

富山県内の小規模病院や診療所・高齢者施設211施設において改正医療後の感染管理体制の整備状況や感染防止対策の現状について半構成的質問紙調査を実施した.その結果,感染対策指針があると回答したのは84%,感染症の把握では72%の施設が実施していた.職員の研修参加では,全員が参加できている割合は半数であり,特に有床・無床診療所においては約3割の参加状況であった.また感染対策の改善策の実施では68%の施設で実施しているが,有床・無床診療所では施設管理者の協力が得られないことや職員の意識が低いことなどから改善していないと回答していた.その他手指衛生環境や個人防護具の配置と使用状況ではほとんどの施設で整備...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 25; no. 5; pp. 295 - 301
Main Authors 長谷, 奈緒美, 境, 美代子, 吉井, 美穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 2010
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ISSN1882-532X
1883-2407
DOI10.4058/jsei.25.295

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Summary:富山県内の小規模病院や診療所・高齢者施設211施設において改正医療後の感染管理体制の整備状況や感染防止対策の現状について半構成的質問紙調査を実施した.その結果,感染対策指針があると回答したのは84%,感染症の把握では72%の施設が実施していた.職員の研修参加では,全員が参加できている割合は半数であり,特に有床・無床診療所においては約3割の参加状況であった.また感染対策の改善策の実施では68%の施設で実施しているが,有床・無床診療所では施設管理者の協力が得られないことや職員の意識が低いことなどから改善していないと回答していた.その他手指衛生環境や個人防護具の配置と使用状況ではほとんどの施設で整備され,いつでも使用できる体制に整備されていた.しかしマスクやエプロンなど適切に使用されていない状況もみられた.使用器材でガラスの注射器を使用している施設(ディスポーザブル製品と併用を含む)が25%あった.アルコール綿の種類では,施設内で万能容器に作成している施設は,51%と半数以上であった.容器の交換頻度など管理状況は,施設により差があり適切な管理ではなかった.以上の結果を踏まえて病院や施設の規模により感染対策がしっかり整備されているかを見極めることが重要であり,今後は対策の実施内容の細部について介入し,改善を求めていく必要がある.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.25.295