長期血液透析患者の僧帽弁置換術中より原因不明の乳酸アシドーシスを認め,救命し得なかった1症例

人工心肺使用下の心臓手術患者では術後血中乳酸値の上昇と予後との関連が知られている。しかし乳酸値上昇の原因は多様であり,個々の原因は明確でないことが多い。今回,長期透析患者の僧帽弁置換術に際し,人工心肺施行後から原因不明の乳酸アシドーシスの進行を認めた。持続的血液濾過透析や経皮的心肺補助装置を施行したが救命し得なかった。原因として末梢循環不全や敗血症などを契機とした多臓器不全が考慮され,今後透析患者での適正な灌流圧,灌流量の検討が必要と考えられた。...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 21; no. 1; pp. 51 - 54
Main Authors 橋場, 英一, 廣田, 和美, 野口, 智子, 斎藤, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 2017
日本心臓血管麻酔学会
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ISSN1342-9132
1884-7439
DOI10.11478/jscva.2016-3-002

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Summary:人工心肺使用下の心臓手術患者では術後血中乳酸値の上昇と予後との関連が知られている。しかし乳酸値上昇の原因は多様であり,個々の原因は明確でないことが多い。今回,長期透析患者の僧帽弁置換術に際し,人工心肺施行後から原因不明の乳酸アシドーシスの進行を認めた。持続的血液濾過透析や経皮的心肺補助装置を施行したが救命し得なかった。原因として末梢循環不全や敗血症などを契機とした多臓器不全が考慮され,今後透析患者での適正な灌流圧,灌流量の検討が必要と考えられた。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2016-3-002