腹腔鏡下S状結腸切除術後に発症した腸間膜脂肪織炎に対し,ステロイドが著効した1例

症例は66歳,男性。S状結腸癌に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した。術後3日目から食事を開始したが,術後6日目に腹痛と発熱が出現した。CTでは縫合不全の所見はなかったが,回腸壁の肥厚・浮腫が認められたため,小腸炎あるいは限局性腹膜炎と診断し,絶食・抗生剤を投与したが,改善傾向はなかった。13日目のCTでは腹腔内に多発膿瘍が認められたため,径の大きい右下腹部膿瘍のCTガイド下ドレナージを行った。一旦,症状は改善したが,19日目高熱と腹痛が再燃,CTでは腹腔内膿瘍は縮小していたが,広汎な腸間膜脂肪織濃度の上昇が認められた。腸間膜脂肪織炎と診断し,23日目からプレドニゾロン50mg/日の投与を開始...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 7; pp. 1067 - 1070
Main Authors 三田, 孝行, 岩田, 真, 田端, 正己, 前田, 光貴, 阪本, 達也, 藤村, 侑, 大澤, 一郎, 加藤, 憲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.37.1067

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Summary:症例は66歳,男性。S状結腸癌に対し腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した。術後3日目から食事を開始したが,術後6日目に腹痛と発熱が出現した。CTでは縫合不全の所見はなかったが,回腸壁の肥厚・浮腫が認められたため,小腸炎あるいは限局性腹膜炎と診断し,絶食・抗生剤を投与したが,改善傾向はなかった。13日目のCTでは腹腔内に多発膿瘍が認められたため,径の大きい右下腹部膿瘍のCTガイド下ドレナージを行った。一旦,症状は改善したが,19日目高熱と腹痛が再燃,CTでは腹腔内膿瘍は縮小していたが,広汎な腸間膜脂肪織濃度の上昇が認められた。腸間膜脂肪織炎と診断し,23日目からプレドニゾロン50mg/日の投与を開始した。投与後,腹痛・炎症反応はすみやかに改善し,プレドニゾロンを漸減,34日目から食事を再開し,45日目退院した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.37.1067