一大学病院におけるESBL産生菌の分離背景

当院における2003年から2007年のextended-spectrum β-lactamase(以下ESBL)産生菌の検出状況について,院内発生株および他施設からの持ち込み株を調査した.ESBL産生菌年度別推移は2003年4株であったが,その後,2007年29株まで増加した.2007年ESBL産生菌はProteus mirabilisとEscherichia coliで全体の80%を占めた.この中で,2007年ESBL産生菌(P. mirabilisとE. coli)はパルスフィールドゲル電気泳動(以下PFGE)型別を行ない,院内発生株と持ち込み株を後ろ向きに調査した.PFGE型別で4型に分...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 26; no. 4; pp. 228 - 233
Main Authors 宇賀神, 和久, 火石, あゆみ, 阿南, 晃子, 新井, 祐司, 中村, 久子, 丸茂, 健治, 田口, 和三, 川野, 留美子, 長島, 梧郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 2011
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Summary:当院における2003年から2007年のextended-spectrum β-lactamase(以下ESBL)産生菌の検出状況について,院内発生株および他施設からの持ち込み株を調査した.ESBL産生菌年度別推移は2003年4株であったが,その後,2007年29株まで増加した.2007年ESBL産生菌はProteus mirabilisとEscherichia coliで全体の80%を占めた.この中で,2007年ESBL産生菌(P. mirabilisとE. coli)はパルスフィールドゲル電気泳動(以下PFGE)型別を行ない,院内発生株と持ち込み株を後ろ向きに調査した.PFGE型別で4型に分かれたCTX-M2 β-lactamase群産生P. mirabilis 11株中,A型5株は院内発生1株,持ち込み2株,不明2株であった.しかし,PFGE型別で7型に分かれたCTX-M9 β-lactamase群産生E. coli 10株は,院内発生が確認されず,持ち込み6株,不明4株であった.今回の調査でCTX-M2群産生P. mirabilisの院内発生株と持ち込み株でPFGE型別が一致したことは,連携病院間での交差伝播の可能性を強く示唆するもので,ESBL産生菌感染対策上,入院時における積極的な監視培養実施の必要性が確認された.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.26.228