遠隔伴走型心臓リハビリテーション支援システムが適切な運動習慣の獲得に有効であった心不全ステージBの1症例
【はじめに、目的】外来心臓リハビリテーション(心リハ)の普及は大幅に遅れていることが多く報告されている。そのため、外来心リハを補完、代替し得る質の担保された在宅心リハが必要とされている。そこでソニーグループ(株)、エムスリー(株)との共同開発で、ウェアラブルデバイスとコミュニケーションアプリを使用した遠隔伴走型心リハ支援システムが開発されている。本システムは、運動中のリアルタイムの遠隔監視は行わず、運動実施前や実施後のバイタルサインデータや自覚症状を患者と指導スタッフが共有することで、運動や生活へのアドバイスを行い、運動をサポートするシステムである。本研究では、その最初のProof of Co...
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Published in | Japanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 1.Suppl.No.2; p. 40 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
01.12.2022
Japanese Society of physical therapy for prevention |
Subjects | |
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ISSN | 2758-7983 |
DOI | 10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_40 |
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Summary: | 【はじめに、目的】外来心臓リハビリテーション(心リハ)の普及は大幅に遅れていることが多く報告されている。そのため、外来心リハを補完、代替し得る質の担保された在宅心リハが必要とされている。そこでソニーグループ(株)、エムスリー(株)との共同開発で、ウェアラブルデバイスとコミュニケーションアプリを使用した遠隔伴走型心リハ支援システムが開発されている。本システムは、運動中のリアルタイムの遠隔監視は行わず、運動実施前や実施後のバイタルサインデータや自覚症状を患者と指導スタッフが共有することで、運動や生活へのアドバイスを行い、運動をサポートするシステムである。本研究では、その最初のProof of Concept(PoC)で遠隔伴走型心リハ支援システムを8週間利用し、適切な運動習慣を獲得し得た症例を経験したため報告する。【方法】対象は、参加希望があり、主治医が本PoCへの参加を許可したステージB心不全の60代男性とした。心不全のリスク因子として、高血圧、狭心症があった。内服薬は、アムロジピン錠5mg、バイアスピリン錠100mg、オルメサルタンOD錠20mg、一硝酸イソソルビド錠20mgであった。週3日程度、運動施設の管理のアルバイトをしていたが、運動習慣はなかった。日常生活上の自覚症状はなかったが、運動への不安や心不全の進行への不安があり、本PoCに参加された。まず事前アンケートや遠隔面談で聴取した患者の病態及び活動量、息切れを生じる動作等から運動耐容能を推定し、在宅で実施可能な運動プログラムを心リハ医師と心リハ指導士が提案した。運動プログラムは動画と文章で提供された。さらに、もともと趣味でゴルフやテニスを行うことがあったが、不定期であったため、定期的に行うように指導した。また、ウォーミングアップやクーリングダウンという概念が欠落していたため、指導した。ゴルフはカートを使わず、歩行するようにアドバイスを行った。コミュニケーションアプリにより日々の患者の体調などを聴取し、精神的なフォローも含めてアドバイスを行うことで運動の実践をサポートした。経過の中で足底筋膜炎などが問題となったが、早期に対応したことで運動中断期間は最小に抑えることが可能であった。また定期的に遠隔面談を行い、ウェアラブルデバイスのデータなどから、運動の実施状況や課題を患者と共有し、必要に応じて運動プログラムを改変した。【結果】これら一連の介入によって、患者は運動への不安が解消され、趣味も取り込んだ運動習慣を獲得、疾病の自己管理に対する不安や疑問の解消につながった。【結論】遠隔伴走型心リハ支援システムは心不全患者の運動習慣獲得、疾病管理、進行予防に有効である可能性が示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言を遵守し、本研究の内容について患者に口頭と書面で説明し、同意のもとに実施した。 |
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ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.1.Suppl.No.2.0_40 |