B型肝炎に対するアデホビル長期投与による腎機能障害と低P血症の検討
B型肝炎に対するアデホビル(ADV)長期投与による腎機能障害と低P血症について検討した.対象は当院でADVを使用した44症例.ADV投与後の推算糸球体濾過量(eGFR),血清P,ALP値,尿酸値について経時的評価をおこなった.ADV投与開始時から30%以上のeGFR低下を腎機能障害と定義し,その累積発生頻度は5年34.1%であった.血清P値の評価が可能であった症例は44例中33例であり,ADV投与により低P血症を来した症例は33例中17例(52%)であった.低P血症症例の多くは,尿中β2-microglobulin上昇,腎機能障害,血清尿酸値低下,血清ALP値上昇を伴っており,骨塩定量検査にて...
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Published in | 肝臓 Vol. 57; no. 9; pp. 468 - 474 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.57.468 |
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Summary: | B型肝炎に対するアデホビル(ADV)長期投与による腎機能障害と低P血症について検討した.対象は当院でADVを使用した44症例.ADV投与後の推算糸球体濾過量(eGFR),血清P,ALP値,尿酸値について経時的評価をおこなった.ADV投与開始時から30%以上のeGFR低下を腎機能障害と定義し,その累積発生頻度は5年34.1%であった.血清P値の評価が可能であった症例は44例中33例であり,ADV投与により低P血症を来した症例は33例中17例(52%)であった.低P血症症例の多くは,尿中β2-microglobulin上昇,腎機能障害,血清尿酸値低下,血清ALP値上昇を伴っており,骨塩定量検査にて骨密度の低下を認めた.低P血症はADV投与期間が長期間になるにつれ出現頻度が高くなり,17例中14例(82.3%)は,ADVを5年以上使用していた症例であった.低P血症に寄与する因子について多変量解析にて検討し,肝癌の既往/合併が有意な因子であった(Odds比7.22,p=0.046). |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.57.468 |