心臓手術後の縦隔炎に対する洗浄術中に大量出血から心停止を来した一例

今回,心臓手術後の縦隔炎に対する洗浄術中に大量出血から心停止を来した症例を経験した。 心臓手術後の縦隔炎の治療は抗菌薬投与の他に,再開胸術及び複数回のデブリードマン,洗浄術,持続陰圧吸引(vacumm assisted closure, VAC)療法などを必要とする。一回の洗浄術は短時間で出血量も少量のことが多く,中心静脈路確保や経食道心エコーなどの侵襲的モニターを常に用いるわけではない。しかし縦隔炎発症後に大量出血を来す頻度は約5.3%,その死亡率は33~53.3%との報告があり,大量出血への準備が必要である。今回も静脈路確保が不十分であったことが反省点である。縦隔炎後の洗浄術の麻酔は大量出...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 21; no. 1; pp. 47 - 50
Main Authors 山崎, 和夫, 岡澤, 佑樹, 宮脇, 郁子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 2017
日本心臓血管麻酔学会
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ISSN1342-9132
1884-7439
DOI10.11478/jscva.2016-2-026

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Summary:今回,心臓手術後の縦隔炎に対する洗浄術中に大量出血から心停止を来した症例を経験した。 心臓手術後の縦隔炎の治療は抗菌薬投与の他に,再開胸術及び複数回のデブリードマン,洗浄術,持続陰圧吸引(vacumm assisted closure, VAC)療法などを必要とする。一回の洗浄術は短時間で出血量も少量のことが多く,中心静脈路確保や経食道心エコーなどの侵襲的モニターを常に用いるわけではない。しかし縦隔炎発症後に大量出血を来す頻度は約5.3%,その死亡率は33~53.3%との報告があり,大量出血への準備が必要である。今回も静脈路確保が不十分であったことが反省点である。縦隔炎後の洗浄術の麻酔は大量出血へ対応できる十分な静脈路を確保し,開心術に移行できる体制下で行う必要がある。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2016-2-026